2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659408
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 公雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80436120)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 低酸素環境 / 炎症 / 血管平滑筋細胞 / 臨床応用 / サイクロフィリンA / 酸化ストレス / Rho-kinase |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者が過去10年間、基礎研究を継続してきた肺高血圧発症における酸化ストレス分泌蛋白サイクロフィリンAの臨床的有用性を検討することである。本研究では、これまでの基礎研究の成果を昇華させるべく、肺高血圧患者由来の肺組織や血清を用いた血清学的診断法の開発を目指している。肺高血圧診断に有用なバイオマーカーは、致死的疾患肺高血圧の早期診断・新規治療法開発に計り知れない貢献を果たすと考えている。 平成23年度は、サイクロフィリンAの肺高血圧における意義に関して、その遺伝子改変マウスを用いた基礎研究を発展させ、肺高血圧患者由来の血清および肺動脈平滑筋細胞を用いて、実際の臨床における治療法開発を視野にいれた詳細な研究を開始した。 サイクロフィリンAが患者由来血管平滑筋細胞における酸化ストレス増幅蛋白として機能し、細胞内および分泌された後の細胞外サイクロフィリンAが相加相乗効果を持って、平滑筋増殖に貢献することが確認された。また、サイクロフィリンAの分泌がRho-kinase依存性であることを報告した(Satoh K, et.al Rho-kinase: important new therapeutic target in cardiovascular diseases. Am J Physiol. 301:H287-296, 2011)。 また、細胞外サイクロフィリンAは炎症細胞の遊走を促し、炎症を基盤とした肺動脈リモデリングの促進を行う可能性も確認された。肺高血圧の病態に新しい基軸を導入する重要な知見が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺高血圧発症における酸化ストレス分泌蛋白サイクロフィリンAの臨床的有用性を検討するためのサンプル集積が済み、解析を始めることができ、当初の予定通り進んでいると考える。肺高血圧患者由来の肺組織や血清のライブラリー化は予想以上に進んだ。また、血漿中サイクロフィリンAの採血や測定方法も確立した。 サイクロフィリンAの分泌様式として、ヒトでもRho-kinase依存性であることを確認した。細胞外サイクロフィリンAは炎症細胞の遊走を促し、炎症を基盤とした肺動脈リモデリングの促進を行う可能性も確認され、肺高血圧の病態に新しい基軸を導入する重要な知見が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本臨床研究では、平成23年度に確立された測定システムを用いて、患者サンプルの測定および解析を終了させる。さらに機能的解析目的で、以下の検討を行う。A)ヒト肺動脈構築細胞におけるCyPA発現とそのシグナル伝達機構(1)ヒト肺動脈血管平滑筋細胞を用いたCyPA酸化ストレス増幅系の解明(細胞実験)(2)細胞外CyPAのヒト肺動脈血管内皮細胞への炎症シグナル伝達機構の解明(細胞実験)B)肺高血圧患者肺組織と健常者肺組織の病理学的比較(1)CyPAの肺高血圧患者肺組織での病理学的意義の解明(分子生物学的手法、免疫学的手法)。(2)ヒト肺組織を用いた組織培養CyPA分泌試験。C)患者由来血清CyPA濃度の網羅的測定(1)肺高血圧患者200例の末梢血CyPA濃度を測定する。(2)健常者血清の末梢血CyPA濃度を測定し、比較検討を行う。D)肺血管平滑筋におけるCyPA受容体の網羅的探索。これまで、細胞外CyPAによって細胞内ERK1/2が活性化されることや酸化ストレス産生が増幅されることを報告したが、その特異的受容体の発見には至っていない。そこで、肺高血圧患者由来肺血管平滑筋細胞を用いたCyPA受容体の網羅的探索を行う。健常者細胞を比較コントロールとする。我々が報告したCyPAの強力な血管作用を阻害可能な受容体発見は、革新的肺高血圧治療薬開発にとって大きな前進になると期待する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の実施に必要な設備・備品は全て現有しており、新たな購入は必要としない。研究経費の大部分は消耗品費に充てる。これまで科研費の補助をいただいて研究は順調に進行してきており、今後も同じペースで研究を実施していく。 次年度も、多くの分子生物学的実験のための研究用試薬(薬品や抗体・プライマー等)費用に充てる。これに加えて、成果発表のための旅費や論文別刷り代を計上した。上記のように、研究経費は、本研究を実施するために必要かつ妥当と考える。
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[Journal Article] Indispensable roles of OX40L-derived signal and epistatic genetic effect in immune-mediated pathogenesis of spontaneous pulmonary hypertension.2011
Author(s)
Rabieyousefi M, Soroosh P, Satoh K, Date F, Ishii N, Yamashita M, Oka M, McMurtry IF, Shimokawa H, Nose M, Sugamura K, Ono M.
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Journal Title
BMC Immunol.
Volume: 12
Pages: 67-73
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Intensive Immunosuppressive Therapy Improves Pulmonary Hemodynamics and Long-Term Prognosis in Patients With Pulmonary Arterial Hypertension Associated With Connective Tissue Disease.2011
Author(s)
Miyamichi-Yamamoto S, Fukumoto Y, Sugimura K, Ishii T, Satoh K, Miura Y, Tatebe S, Nochioka K, Aoki T, Do E Z, Shimokawa H.
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Journal Title
Circ J.
Volume: 75
Pages: 2668-2674
Peer Reviewed
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