2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23659408
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 公雄 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (80436120)
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Keywords | 肺高血圧 / 低酸素環境 / 炎症 / 血管平滑筋細胞 / 臨床応用 / サイクロフィリンA / 酸化ストレス / Rho-kinase |
Research Abstract |
肺動脈リモデリングには、低酸素ストレスや酸化ストレスが重要促進因子として働いているが、そのメカニズムは不明な点が多い。申請者は、酸化ストレス下で血管平滑筋細胞より分泌される蛋白サイクロフィリンAが各種の心血管疾患の発症を規定する重要な蛋白であることを報告した(Circulation 2008)。また、分泌された細胞外サイクロフィリンAが酸化ストレスを誘導することから、酸化ストレス増幅作用を有することを発見した(Nature Med. 2009)。さらに、酸化ストレスによるサイクロフィリンAの分泌はRho-kinase依存性であり、両者が密接に絡み合って相加・相乗効果を形成することを報告した。従って、サイクロフィリンAはヒトでも肺高血圧発症・進行の重要因子であると同時に、分泌蛋白である特性から、早期診断のバイオマーカーとして有用である可能性がある。そこで、肺高血圧発症における酸化ストレス分泌蛋白サイクロフィリンAの臨床的有用性を検討した。これまでのサイクロフィリンA遺伝子改変マウスを用いた基礎研究結果に基づき、肺高血圧患者由来の肺組織や血清を用いた血清学的診断法の開発を目指した。サイクロフィリンAの肺高血圧における臨床的意義に関して、詳細な研究を行い、サイクロフィリンAが患者由来血管平滑筋細胞における酸化ストレス増幅蛋白として機能し、平滑筋増殖を促進することを確認した。また、血漿中サイクロフィリンA濃度が肺高血圧症患者の重症度と相関し、予後予測のためのバイオマーカーとして有効であることを確認した。以上の研究成果を、国内外の学会やシンポジウムで報告した(日本循環器学会総会シンポジウム、米国心臓病学会議、欧州心臓学会議)。以上の知見に基づき、新しい診断薬としての可能性につき特許申請を行った。「サイクロフィリンAによる心血管疾患の検査方法」(2012年10月30日)。
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