2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659431
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 好規 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 直純 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30378020)
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Keywords | 肺の再生 / 低酸素 / PTEN / 組織微小環境 / 上皮間葉系移行 |
Research Abstract |
我々は肺構成細胞の再生治療における基盤的知識を構築するために、上皮間葉系移行(EMT)誘導およびその復元メカニズムの機序を解明することを計画し、EMT誘導因子に着目した。1つは、EMT誘導分子とされるTwistについて、肺細胞で検証した。2つは、肺傷害において組織障害部位に遷延化低酸素状態が存在することを明らかにしたうえで、肺傷害における遷延化低酸素状態の上皮細胞の機能変化についてEMTを軸に評価した。その結果、肺上皮細胞機能のひとつとされるサーファクタントD蛋白(SP-D)は急性低酸素において産生亢進するが、遷延化低酸素でEMTに合致するSP-D抑制を示した。3つは、慢性難治性呼吸器疾患において組織微小環境(TM)が組織傷害を増悪させ、さまざまなシグナル経路が活性化されるが、これらの刺激がPTENによって制御されることから、PTENに着目した。その結果、低酸素刺激がPTENの発現抑制とp-PTEN/PTEN比率上昇を介してPTEN活性減弱を誘導することを示した。さらに、PTEN-C末端リン酸化のアミノ酸置換は低酸素刺激においてもPTEN活性を維持することができた。本研究から、肺再生における遷延化低酸素状態の影響、EMT制御分子としてのPTENの可能性について明らかにした。包括的なシグナル制御を達成する治療戦略として、PTEN-C末端リン酸化部位は有力な治療標的であり、これらの知見は、肺再生において肺構成細胞の適切な分化誘導に関する重要な情報基盤を示すものであると考える。
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Research Products
(8 results)