2012 Fiscal Year Annual Research Report
IL-17高産生細胞株の発見とその分子メカニズム解析による新規炎症制御法の開発
Project/Area Number |
23659500
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 崇 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90362483)
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Keywords | IL-17 / エピジェネティック / ChiP解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,未だにその本質が不明である,IL-17産生ヘルパーT細胞の分化メカニズムを,申請者らが偶然に発見した.IL-17A/F高産生マウスT細胞株とそのクローンを用いて,ゲノムレベル・エピジェネティック・転写因子レベルで網羅的に解析し,その遺伝子発現ネットワークを明らかにすることである。申請者らは,偶然にあるマウスT細胞株クローンを解析する中で,非常に高レベルのIL-17A/Fを安定して産生するクローンを見出した。これらのクローンを用いてこれまでは不可能であったマイクロアレイ・網羅的なエピジェネティック解析を行った。 マイクロアレイ解析ではIL-17A/F高産生クローンと低産生クローンとの間で数百の発現に差がある候補遺伝子がピックアップされた。それらを一つ一つ詳細に解析したところ、ある遺伝子Xが見つかった。この遺伝子をover expressionさせるとIL-17A/F低産生クローンを高産生クローンに形質転換でき、さらには上述の差のある遺伝子群の約50%をIL-17A/F高産生クローン型に誘導できることが明らかとなり、本質的な遺伝子であることが強く示唆された。 一方でIL-17A/F高産生クローンと低産生クローンとの間には、ゲノム配列やプロモーター活性に差は認められなかった。そこでIL-17A/F高産生クローンと低産生クローンを材料とし、抗ヒストン抗体によるゲノムのChiP解析を行なった。その結果IL-17Aプロモーター領域においてメチル化CpG、非メチル化CpGが両クローン間で大きな差異があることを見いだした。またこの差異はTNF-alphaプロモーター領域では認められず、サイトカイン特異であることが示唆された。現在このエピジェネティックな変化と遺伝子Xの分子メカニズムについて研究を進めている。
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