2014 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者に対する指先触圧覚認知P300測定システムを用いた触・痛覚の研究
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23659559
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長澤 達也 金沢大学, 大学病院, 講師 (10334773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 靖樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00507064)
金田 礼三 金沢大学, 大学病院, 助教 (40456413)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 触覚 / P300 / 統合失調症 / 痛覚 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
①最終年度に3例統合失調症群を追加し健常群は40例、統合失調症群は26例に試験を実施した。 ②データ収集と実施:指先触圧覚認知P300測定システムにて触圧覚刺激時の脳波データとvisual analogue scale(VAS)による試験遂行時の痛みのデータ収集を行った。 ③データ解析と測定 脳波データをオフラインのコンピューターで、標的刺激には鉄心が駆動した時をトリガーとして脳波を約32 回加算平均した。またP300電位として、各電極部位の刺激後300msec 前後の陰性頂点電位の振幅と潜時を計測した。 ④臨床症状評価と被験者背景の記録:統合失調症患者の精神症状の評価として、試験遂行時のBPRS (Brief psychotic rating scale)を用いて評価した。また試験遂行時の服用薬物、教育歴、利き手などの記録を行った。 ⑤最終年度に実施した研究の成果及び研究期間全体を通じて実施した研究の成果:最終年度に、年齢をマッチさせた上で統合失調症群と健常群のP300振幅および潜時を比較した。統合失調症群では健常群よりP300振幅は有意に小さく潜時は長い結果が得られた。また反応時間は両群に差はなかった。VASは統合失調症群で健常群より有意に高かった。健常群では、VASとP300潜時に正の相関を示した。P300成分とBPRSに相関は認めず精神症状と関連はなかった。統合失調症患者でVASは高かったが、P300の結果から触圧覚認知が障害されている事が考えられた。当初の研究目的の予想通り、従来から報告されている統合失調症患者では痛みが鈍いと言う報告を大脳生理学的にP300を用いて検証できた。また、客観的な評価が困難な触・痛覚に対して本システムが有用である可能性が示唆され非常に意義深いと思われた。なお結果は最終年度に、福岡で開催された第44回日本臨床神経生理学会にて発表した。
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Research Products
(1 results)