2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659565
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 亮太 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (10370983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 由華 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (20448062)
山森 英長 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (90570250)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 遺伝子 / 神経科学 / 生物学的精神医学 |
Research Abstract |
統合失調症には神経伝達物質の受容体をターゲットとする抗精神病薬が用いられるが、未だWHO の障害による損失年数のトップ10 の疾患に入っているのが現状である。統合失調症の脆弱性遺伝子であるディスバインジンが、統合失調症脳において発現が低下しており、その欠損マウスが統合失調症様の行動異常を示すことを応募者らが世界に先駆けて報告し、その後追試研究により確認されている。そこで、ディスバインジン発現増加による統合失調症予防およびディスバインジン補充による統合失調症治療法の検討をディスバインジンの過剰発現マウスや欠損マウスを用いて行う。このように本研究では、今までにない画期的な統合失調症の治療法と予防法の開発を目的とする。これまでに本研究班のメンバーらは統合失調症の脆弱性遺伝子であるディスバインジンが、統合失調症脳において発現が低下しており、その欠損マウスが統合失調症様の行動異常を示すことを報告し、その後追試研究により確認されている。すでに作製したディスバインジンを過剰発現したトランスジェニックマウスに、統合失調症モデルを適用し統合失調症様の行動異常の抑制を検討している。ディスバインジン遺伝子のプロモーター解析を行い、発現制御機構を検討し、また、ディスバインジン欠損マウスにおける脳の生化学的異常のうちクロザピンで正常化されない分子検索している。今後予想される結果としては、ディスバインジン発現の増加は、統合失調症様行動異常の発現に対して保護的に働き、ディスバインジン遺伝子の発現制御のメカニズムを解明し、クロザピン非反応性の分子を同定できると考えられる。これらの結果は、ディスバインジンの発現を増加させる化合物のスクリーニングとクロザピン不応答性の病態解明につながり、最終的には、新規の統合失調症治療薬の開発に結びつく意義深いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症脳におけるディスバインジン発現の減少やディスバインジン欠損マウスにおける統合失調症様の行動異常から、ディスバインジンの脳内の発現減少が統合失調症の病態であることが想定され、統合失調症の治療としてディスバインジンの補充や予防として前もって発現レベルを高めることが役立つ可能性がある。そこで、ディスバインジン過剰発現マウスを用いて検討を行い、発現レベルを制御するための解析を行った。行動解析については、ディスバインジンの発現増加が統合失調症に保護的に働くことを検討するため、ディスバインジンの過剰発現トランスジェニックマウスに統合失調症様の症状を引き起こす環境因子(精神異常惹起薬モデルや神経発達障害モデルなど)を負荷し、その行動の変化を検討している。精神異常惹起薬モデルとしては、統合失調症様の症状を引き起こすことが知られているフェンサイクリジン(PCP)、メタンフェタミンそしてアンフェタミンの腹腔内投与を行っている。神経発達障害モデルとしては、新生仔海馬障害モデルを用い、行動評価としては、オープンフィールドテスト、社会相互作用試験、高架式十時迷路、T 型迷路、レパルス抑制テスト(PPI)、Barnes circular maze test、T-maze forced alternation task などを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はディスバインジン欠損マウスを用いた検討を行う。抗精神病薬投与により、ディスバインジン欠損マウスの脳内の生化学的な異常と行動異常の改善を検討する。抗精神病薬としては治療抵抗性の統合失調症に効果があることが知られているクロザピンを用いる。行動解析においては、クロザピン腹腔内投与を行い、記憶障害が認められたBarnes circular maze test やT-maze forced alternation task における改善効果を検討し、社会障害はSocialinteraction test を、新奇性追求や不安はOpen field test、不安は高架式十字迷路を用いて検討する。これらの実験により、クロザピンによっても改善しない治療抵抗性の統合失調症のモデルとなる行動異常を同定する。クロザピン不応答性分子の同定を行うためには、ディスバインジン欠損マウスでは、シナプス関連分子の発現異常やドーパミン含量の低下が認められることから、クロザピン投与によるこれらの異常の回復について検討する。クロザピン不応答性分子の発現レベルの調整が統合失調症の新たな治療戦略として有望であるという結果が出れば、統合失調症の新たな治療ターゲットの候補として、その発現を制御する因子を同定する。クロザピン不応答性遺伝子の転写開始点(領域)を同定し、次にプロモーター領域のゲノムカセットを作製し、プロモーター解析を行い、転写制御領域を同定する。そして、その転写制御領域のルシフェラーゼアッセイ系にて化合物のスクリーニングを行い、転写制御を行う化合物を創薬の候補として見出す。そして、クロザピン不応答性分子の発現制御化合物をディスバインジン欠損マウスに投与し、クロザピン投与によって改善しなかった行動異常が改善するか否かについて検討を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品:ディスバインジンの過剰発現マウスと欠損マウスの維持と繁殖のための費用を必要とするため消耗品費としてこれに関して5万を計上する。同時に、培養細胞を用いた転写制御のメカニズムの解明研究の実験に必要な各種試薬や培養用のメディウムなどの費用および動物実験用の試薬をとして20万、マウス脳の生化学的解析用の各種試薬の購入として15万を計上する。謝金:本研究を遂行するための動物の維持繁殖や細胞培養の実験補助をして技術者1名を雇用しその者に支払う謝金として40万を計上する。旅費:研究成果を国内の学会で発表するための旅費とし10万を計上する。
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[Journal Article] Decreased alpha event-related synchronization in the left posterior temporal cortex in schizophrenia: A magnetoencephalography-beamformer study.2011
Author(s)
Ikezawa K, Ishii R, Iwase M, Kurimoto R, Canuet L, Takahashi H, Nakahachi T, Azechi M, Ohi K, Fukumoto M, Yasuda Y, Iike N, Takaya M, Yamamori H, Kazui H, Hashimoto R, Yoshimine T, Takeda M.
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Journal Title
Neurosci Res
Volume: 71(3)
Pages: 235-43
Peer Reviewed
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[Journal Article] The SIGMAR1 gene is associated with a risk of schizophrenia and activation of the prefrontal cortex.2011
Author(s)
Ohi K, Hashimoto R, Yasuda Y, Fukumoto M, Yamamori H, Umeda-Yano S, Kamino K, Ikezawa K, Azechi M, Iwase M, Kazui H, Kasai K, Takeda M
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Journal Title
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry
Volume: 35
Pages: 1309-1315
Peer Reviewed
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