2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659579
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒野 泰 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90151167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 知也 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10323403)
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Keywords | 抗体 / 分子イメージング / アイソトープ治療 / 体内動態 / キャリアタンパク質 |
Research Abstract |
BHamをキレート構造とするマレイミド誘導体をFab'フラグメントに結合し、テクネチウム-99m(Tc)との錯形成反応により2分子のFab'がTc-BHam2錯体により架橋されたTc標識Fab2の作製を行った。このとき、Fab'フラグメント1分子に導入したBHamの分子数、Fab'-BHam conjugate濃度、標識前駆体であるTc-glucoheptonate(GH)中のGH濃度、Tc標識反応pHを検討し、最適条件を求めた。その結果、Fab'1分子に平均2分子のBHamが結合したconjugateを4 mg/mL使用し、反応pH 5.0、GH濃度10 mg/mLの反応条件において約23%の放射化学的収率で目的とする2価のTc標識Fab2を得ることに成功した。本標識抗体を分子ふるいHPLCで分析したところ、2価Tc抗体の溶出時間のUV 280 nmの吸収は検出限界以下であり、本Tc標識抗体はこれまでのRI標識抗体とは異なり、遊離の抗体が存在しない、比放射能の大変高いTc標識抗体であると考えられる。 分子ふるいHPLCで精製した本Tc標識抗体を、非放射性のヒト血清アルブミン 20 ugあるいは抗体Fab'フラグメント20 ugに溶液として実験動物に投与したところ、キャリアタンパク質の種類にかかわらず、両者は同じ体内動態を示した。更に、その血液からの消失速度は、放射性ヨウ素標識F(ab')2に比べて有意に遅延した。これらの結果から、本標識抗体は生体内で安定な2価の構造を維持することを示す。また、従来、標識抗体を生体に投与した際の肝臓などへの非特異的な集積の低減にキャリア抗体が必須とされてきたが、本研究成果から、キャリア抗体は体内動態に影響を及ぼさないことを初めて明らかにした。今後腫瘍集積に及ぼすキャリア抗体の影響を検討する予定である。
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