2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659610
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 史顕 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20467426)
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Keywords | ハイドロキシメチル化 / がん / 乳癌 / エピジェネティクス / TET |
Research Abstract |
最近、その機能が報告され始めているDNAのエピジェネティクス修飾であるヒドロオキシメチル化シチジンの、癌における生物学的意義を明らかにする事が本研究の主眼である。ヒドロオキシメチル化シチジンは、メチル化シチジンの脱メチル化過程の最初の段階と考えられておりエピジェネティクスによる遺伝子発現で重要な機能を担っていると考えられている。このメチル化シチジンのハイドロキシ化の酵素としてTETファミリーが知られている。当研究では、このTETファミリー遺伝子を乳癌細胞株に導入し、乳癌細胞のエピジェネティクスパターンの変化、悪性形質の変化を観察する。現在、テトラサイクリン誘導システムでのTET遺伝子発現乳癌細胞を作成中である。テトラサイクリンinducer (pCMV-TET3G)のstableクローンは、乳癌細胞4株MCF7, Hs578T, SKBR3, T47D細胞で確立した。TETファミリー遺伝子の発現プラスミドの作成を試みているが、TET遺伝子が比較的大きな分子のため当初難渋していた。その対策としてfull-lengthのcDNAを上総研究所より購入し、現在そのcDNAクローンからTET遺伝子発現ベクターを作成中である。また、上記の乳癌細胞株の野生型でのゲノムワイドのメチル化パターンは、イルミナ社のヒトメチル化アレイ450Kで取得済みで、TETファミリー遺伝子安定高発現株が樹立後は、メチル化パターンとの比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TETファミリー遺伝子の発現ベクターの作成が、TETファミリー分子が比較的大きく、一般のがん細胞では発現量が低いため、クローニングに難渋した。cDNAクローンを上総研究所より購入したので、この問題は解決するであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のようにTET遺伝子発現ベクターはcDNAクローン購入により推進されると思われる。また、乳癌細胞株は一般的に増殖が遅く、プラスミドベクターによる遺伝子導入安定後発現株を樹立の効率が悪い。その点を改善するためにレンチウィルスベクターシステムを導入し、効率化していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TETファミリー遺伝子導入細胞株が樹立していないため、機能解析を行う費用を一部平成25年度に繰り越した。その資金は、同目的で使用する予定である。つまり、hMeDIP解析で抽出された候補遺伝子のハイドロキシメチル化のパターンを、乳癌細胞株と乳癌組織標本で検証することと、TET遺伝子をテトラサイクリンによる発現誘導系細胞株の樹立と、その細胞株を用いた細胞機能解析(細胞増殖能、細胞周期、アポトーシス、mammosphere形成能)をin vitroで行うという、2点を中心に使用していく予定である。
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