2011 Fiscal Year Research-status Report
肝硬変治療のための新規低出力体外衝撃波を用いた肝細胞及び肝組織再生療法の開発
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23659633
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 剛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60282076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里見 進 東北大学, 大学病院, 教授 (00154120)
佐藤 成 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20250764)
伊藤 健太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50375086)
川岸 直樹 東北大学, 大学病院, 准教授 (00333807)
関口 悟 東北大学, 大学病院, 講師 (20312580)
赤松 順寛 東北大学, 大学病院, 助教 (50302112)
藤島 史喜 東北大学, 大学病院, 助教 (40451596)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 体外衝撃波 / 肝再生 / 血管新生 / 肝硬変 |
Research Abstract |
本年度は体外衝撃波による肝細胞再生療法を行うための基礎的実験を行った。正常肝に対して体外衝撃波を照射し、肝臓構成細胞および間組織構造への影響を評価した。1、ラット健康肝に体外、季肋部より衝撃派(0.55mj/mm2,3Hz、1000shocks)を照射し、7病日に犠牲死させ病理学的変化を検討した。病理学的に門脈周囲に微小出血が見られ、門脈血管新生の初期像に一致する像を観察している可能性が示唆された。体外衝撃波による肝組織での効果は血管新生を介して生じる可能性があるため、次年度において血管新生因子に対する分子生物学的解析と免疫組織学的解析が必要となった。2、SDラット(8-9周)に対し70%肝部分切除を施行。施行後、残肝に衝撃派を直接照射し、72時間後に犠牲死させた。残肝を摘出し摘出肝重量/予想残肝重量比を求め対象群と比較検討した。SW群6.75±1.90、control群6.52±1.89と有意差は得られなかった。肝切除後の肝組織はHGFやVEGFなどの血管新生因子の産生が盛んな状態であるため、衝撃波による血管新生因子の増加による上乗せ効果が得にくい状態であることが示唆された。虚血心筋に対する衝撃波の作用と同様に肝臓においても病的状態で衝撃波の効果を検討しなければならないことを示唆している。肝再生因子と線維化のバランスがより線維化に傾いた薬剤性肝硬変モデルや血管結紮による虚血肝での実験系による評価が次年度に必要であることが示唆された。また、一連の実験において体外衝撃を照射された正常肝組織に破壊的な像や線維化は認められず、衝撃波を照射されたラットに合併症は認められなかったため、肝臓に対する体外衝撃波の照射は安全に施行することができると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では体外衝撃波の有効性と安全性を明らかにすることを目的としている。動物実験において有害な事象を認めておらず体外から低出力の衝撃波を照射することは安全に施行できると考える。有効性に関して門脈周囲の血管新生を今後評価する必要性と血管新生因子について検討する必要が生じていることは新たな知見と考える。東日本大震災によって動物実験が約6か月機能不能になったことを考慮すると時間的制限と進歩を比較しおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1、葉構造の再生の評価。平成23年度の研究成果により明らかになった低出力体外衝撃波の条件をもとに、ラット肝硬変モデルに対して体外衝撃波照射を行う。摘出肝の病理学的検討により線維隔壁に対する影響と再生結節の線維化を改善する。さらに線維成分を定量化することにより肝硬変が改善される程度を数値化し評価する。2、低出力体外衝撃派照射の肝機能に及ぼす効果。衝撃派照射後に血液生化学的解析を行い、肝臓の機能的改善に対する効果を評価する。3、体外衝撃波の肝硬変改善のメカニズムの解析。平成23年度の実験と同様に肝硬変モデルにおいてもその内因性血管新生因子と肝再生因子の定量と局在を評価する。4、有害事象の検討。腹腔内と胸腔内の詳細な観察と各臓器の病理標本により他臓器への影響を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り使用する計画である。
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