2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元超音波ガイド下ロボット肝切除に関する基礎的研究
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23659642
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川口 雅彦 金沢大学, 大学病院, 助教 (60552982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 紀彦 金沢大学, 大学病院, 講師 (50343182)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腹腔鏡下手術 / 腹水中手術 / 肝切除術 |
Research Abstract |
本年度は、腹水中腹腔鏡下手術を実行するために、予備実験となるドライラボ実験に取り組んだ。実験用の水槽を設置し、内部に生食水を充満させ、水槽上部に腹腔鏡手術用のポートを設置した。この水槽内に豚の肝臓組織を浸漬させ、腹腔鏡を用いて観察した。その後、HEサージャリーシステム(オリンパス)、超音波凝固切開装置(エチコン、オリンパス)を用いて実際に水中での組織切除が可能か視認性についての評価を行った。前者は、泌尿器科用の前立腺手術時に生理食塩水中で使用することを目的につくられたものであり、水中使用に問題はなかったが実際の手術に使うには柄を長くする必要があった。一方、後者は気腹状態での使用を目的として開発されたもので水中での使用の評価はされたことがないものであり、実用性への検証が主眼となった。気腹状態では水分の多い組織切離はミストがとび極めて視認性が悪くなることが知られている。水中での使用では、予想された視野の悪化は見られなかった。本実験の結果、ドライラボでは上記のいずれのエネルギーデバイスを用いても生理食塩水中の組織切除を行うことが可能であることが確認された。また、組織切離中に生食水汚染による視認性の低下を防ぐため、生食灌流装置を付加した。これは、従来の二酸化炭素排出型の気腹装置に比べ資源を有効利用ができ、より実用性のある手術にするために有用な装置と考えた。本実験の結果をもとに生体動物における腹水中手術を行う際の基礎的な手術環境が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従ってドライラボにおける生食水中手術は実現可能性が示された。生食水中での手術を行うには、基本手技である切離、縫合、結紮が不可欠である。そのうちで、もっとも困難であると考えられるの安全な切離、出血のコントロールであると考えられる。これを実現させるために、エネルギーデバイスの評価および視認性の検証を行った。今回行った水槽実験では高度な視認性を損なうことなく組織切離を安全に行うことが実証された。以上、初年度の実験計画は予定通りに実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実際の生体豚を用いて腹水中手術を施行する。生理食塩水中での手術という腹腔鏡手術の新しい分野において気腹手術との違いを検証し安全性を確かめる必要がある。この際に問題になるのは腹水中での生理学的な変動の有無、腹水内でのエネルギーデバイスの使用が生体に与える影響であり、客観的な評価を行う必要がある。つづいて、実際の手技において安全な手技が施行可能であるか、また出血コントロールなど偶発症発生時の生体反応や縫合、結紮など手技上の実現性もあわせて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の研究費は、効率的執行により端数が生じ僅かに未使用額が出てしまった。次年度は、実際の生体豚を使用して腹水中腹腔鏡下手術を施行する。豚の購入費、飼育費、手術時の麻酔薬、補液、モニタリングが必要である。また、手術道具としてポート、鉗子の購入が必要、エネルギーデバイスの消耗性のチップは再購入する。さらに、得られた検体に対して血液生化学的検査、病理組織学的検査などをおこなう予定である。
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