2011 Fiscal Year Research-status Report
新たなヒト多能性幹細胞(iMuse細胞)の人工的作成
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23659648
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 正樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 英利 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90542118)
石井 秀始 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (10280736)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 再生医 / 外科学 / ES細胞 |
Research Abstract |
癌化のない新しい自己由来多能性幹細胞を誘導・作成(iMuse細胞)。この細胞はiPS細胞(induced pluripotent stem cells;人工的誘導型万能細胞)とは異なる。最近ヒトの皮膚や骨髄の組織中に含まれる新しい「多能性幹細胞(Muse細胞)」が発見され、多分化能を持つが癌原性(癌化の危険性)が極めて低く、天然型の観点から再生医学に優れた可能性を秘めるものとして注目される。しかしこのMuse細胞は増幅困難であり、再生医療に必要な細胞数を確保する上でそのままでは使用できない。従って増幅技術の開発が必須であり、本申請では、このMuse細胞をゲノムに優しい特殊な方法で誘導し(iMuse [induced-Muse]細胞)、将来の臨床応用に向けて基盤を構築した。正常の体性幹細胞の研究から派生したSSEA3陽性細胞としての特徴を指標に、大腸癌細胞を探索した。その結果、DLD、HCT等複数の大腸癌細胞株において、SSEA3の存在が認められた。細胞周期解析及び免疫不全マウスを用いた移植実験により、SSEA3陽性癌細胞の癌幹細胞としての潜在的増殖能は高いことが明らかとなった。現在中和抗体や各種阻害剤での実験を継続しており次年度に向けて展開中である。独創性:iPS細胞とは相違する新しい方法で誘導(特許出願済;Nature in revision)。新規性:癌化のない幹細胞の作成例は皆無。有用性:自己組織(末梢血等)から誘導可能となり、免疫・倫理・感染の諸問題に加えて、癌化の問題を解決。先進性:理想的な再生医療の具現化に向けて基盤構築。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
革新的なリプログラミングにおいて要となる体性幹細胞(Muse)及び癌細胞の研究に発展し、効率的な細胞の分化誘導方法のための画期的な制御方法の開発に成功しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
【再生医学への応用】iMuse細胞シートで欠損組織を補填する基礎実験を実施。【非癌原性の詳細な検討】試験管内および動物実験を実施。各細胞(iMuse, Muse, ES, iPS, miPS)を免疫不全マウスを使用し、iMuseやMuseでは癌原性の無い事を確認。作製された細胞のゲノムを次世代シークエンサーにて、遺伝子転写を網羅的発現解析にて検討し、再生医学ツールとして非癌原性が担保されている事を解析する。【技術の発展】他の細胞ルールへ技術の発展を図る。ゲノムを守りながらiMuse細胞を誘導することに焦点を当てるので、この技術を他の幹細胞(肝臓、膵臓等の体性組織幹細胞)の誘導に応用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の細胞ルールへ技術の発展を図る。ゲノムを守りながらiMuse細胞を誘導することに焦点を当てるので、この技術を他の幹細胞(肝臓、膵臓等の体性組織幹細胞)の誘導に応用する。
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