2011 Fiscal Year Research-status Report
miRNAを用いた新規大動脈瘤バイオマーカーの開発とその治療応用
Project/Area Number |
23659670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳥飼 慶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70364792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 芳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
倉谷 徹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90448035)
坂口 太一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (10467574)
白川 幸俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20457013)
島村 和男 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (10507205)
金 啓和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70532985)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | miRNA / 大動脈瘤 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
大動脈瘤の発生・進展に関わるmicroRNAの発現を検証し、超早期診断となりうる新たなバイオマーカーの開発及びantagomirを用いた新規治療薬の開発まで発展させることを目的とし研究を開始している。1)大動脈瘤組織における特異的microRNAの発現の検証;腹部大動脈瘤壁を10名、健常大動脈壁を5名の患者より採取し、total RNAを抽出し、microRNA arrayを用いてmicro RNA発現の違いを検証し、更に違いの顕著であったmicroRNAについてはreal-time PCRを行ったところ、miR-17, miR-21, miR-92a, miR-126, miR-146, miR-221, miR-223が瘤壁において過剰に発現していることが示された。また、これらはMCP1, TNF, TGFなどの因子の発現と相関が見られた。2)大動脈瘤患者における血中microRNAの検出; 腹部大動脈瘤患者21名、健常人6名より血液を採取して、血漿中のRNAを抽出し、real-timePCR法により、1)にて違いが見られたmicroRNA量を比較検討したところ、血漿中のmicroRNAは検出可能であり、miR-15a, miR-15b, miR-21, miR-126, miR-146a, miR-223は、大動脈瘤患者では健常人と比べて有意に発現が低下しており、組織中の発現様式と相反していた。この傾向は、冠動脈疾患でも見られると報告されており、意義のある結果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動脈瘤患者のmiRNAの網羅的解析は終了し、target miRNAを同定。そのmiRNAを新規治療薬の開発まで発展させることを目的とした研究を開始することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
大動脈瘤壁細胞の機能解明と標的microRNAの同定; 先の研究にて候補と考えられた標的microRNAに対するantagomirを当施設薬学部にて作成。大動脈瘤組織を採取し、コラゲナーゼを用いて瘤壁中の平滑筋細胞と線維芽細胞を単離し至適条件にて培養し、その中で純度の高いコロニーを選択し、作成したantagomirを投与する。投与後にRNA、タンパク質を抽出し、炎症性サイトカイン、細胞増殖因子やMMP, TIMP群の発現を、real-time PCR、ELISAを用いて評価し、これをantagomir投与群、非投与群で比較。標的microRNAの炎症反応と細胞外基質合成への関与を定量的に検証し、より炎症反応を抑え、細胞外基質を正常化すると考えられるantagomirを同定。小動物モデルを用いた新規治療手法の開発;マウスにて大動脈瘤モデルを作成し、このモデルを用い得られたantagomirを全身投与あるいは局所投与を行い大動脈瘤径及び組織学的変化を検証。臨床応用への移行;上記治療戦略を、大動物モデルに応用することにより、その実現可能性、安全性を確認し、治療手法を確立する。また、創薬化を視野に入れて、協力企業を模索するとともに特許の獲得を考慮する。大型助成金補助下に、本施設倫理委員会に申請し医師あるいは企業主導型の大規模臨床試験を実施し、新規治療とし健康増進に直接貢献することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大動脈瘤化に関連するmiRNAをターゲットとしたアンチセンスオリゴヌクレオチドやmiRNA mimicsを開発し、大動脈瘤動物モデルを用い、その安全性及び有効性について検証する。1.動脈瘤動物のモデルの作製2.アンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの作製3.マウス大動脈瘤モデルに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド及びmiRNA mimicsの有効性の検討
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