2012 Fiscal Year Research-status Report
軸策再生効果の高い嗅神経鞘細胞の誘導と移植用三次元デバイスの開発
Project/Area Number |
23659685
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森脇 崇 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20591019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00201046)
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Keywords | 嗅神経鞘細胞 / 細胞外マトリックス / 軸索伸長 / 細胞移動 |
Research Abstract |
嗅粘膜(Olfactory mucosa:OM)は生涯にわたり嗅神経が再生する組織で、神経幹細胞や、軸索伸長を支持する嗅神経鞘細胞(olfactory ensheathing cell: OEC)などを含む。当グループではOECが形態により神経軸索との相互作用が変化することを三次元培養系で見出してきた。OECがアストロサイト型とシュワン細胞型への変化にかかわる分子の検討を平面培養系で行った。 培養の際、poly-L-lysine(PLL)コーティングの場合、Matrigelコーティングに比べ、OECがA型となる割合が増加することが示された。また免疫染色により形態による発現に差がある分子を探索し、細胞接着分子NCAM, L1CAM, 軸索ガイダンス関連蛋白sema3A, LPA受容体であるEDG2がS型でやや多く発現することが示唆された。そこで両培養条件における遺伝子発現をリアルタイムPCRで定量した結果、PLLコーティング培養では細胞接着分子NCAMおよびLPA受容体の発現がMatrigel上に比べて高かった。一方、L1CAMはMatrigel上でやや高く、sema3Aにおいては差がなかった。 LPAは成長因子VEGFの産生やOECの遊走性を制御する因子であり、LPA添加による上記遺伝子発現の変化を調べたところ、PLLコーティング上ではLPA添加でNCAMの発現が低下しMatrige上と同程度になった。一方、Matrigel上ではL1CAMの発現が増加した。LPA添加により、PLL上では遊走性が高まり、Matrigel上では逆に接着性が高まる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞外マトリックスの評価対象として、完全合成自己集合ペプチドゲルの評価を行った結果、OEC、Schwann細胞、神経系細胞の増殖性が高くなく、また細胞質の形態にも通常と異なるパターンがみられることがわかり、単離細胞を用いた移植への適合性が低いと判断され、移植実験に進めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の理由により、移植実験の方向性を再検討している。移植医療においては、細胞を単離培養して組織内へ注入することが多く行われているが、コンタミネーションを防ぎ迅速な治療のためには、これらの過程を経ずに自家由来組織を直接移植することが望ましい。自家由来OMの組織切片を直接移植は、上記に加え、OM本来の構造が軸索伸長のスキャホールドなる可能性を有している。よって、OMの構造を保持したまま、神経伸長の誘導や軸索ガイダンス効果が見られるか否かを、in vitroの3次元培養で検討する。OMは神経幹細胞や支持細胞を含む嗅上皮(olfactory epithelium: OE)と、軸索およびそれを束化するOEMから構成される嗅粘膜固有層(Lamina propria: LP)からなる。これらを剥離して、それぞれどのような因子を遊離し、ガイダンス効果を示すか、その分子機構を組織化学的観察・抗体処理・ELISAで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物(ラット)、培養用消耗品(血清を含む)、抗体、ELISAキットを計上している。
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Research Products
(2 results)