2012 Fiscal Year Research-status Report
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23659739
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森田 耕司 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (30115513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00377748)
白石 義人 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (00135253)
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Keywords | 循環血液量 / 輸液応答性 / 心拍周期の変動 / 動脈血脈波振幅の変動 / プレティスモグラム振幅の変動 |
Research Abstract |
豚6頭(20Kg~20Kg, イソフルラン2%, FiO2=0.6, TV=450, R=15回/min)において、全血液量の10,20,30,40%脱血ならびに10,20,30,40%返血、加えて代用血漿剤(HES)20,40%輸液時それぞれにおいて、心電図、大腿動脈圧波形、耳朶部のプレティスモグラムを測定した。ECG波形のR波振幅、RR間隔、動脈圧およびプレティスモグラム波形のパルス幅値、脈派周期を一拍ごとに測定した。各脱血、返血、HES投与時の安定期3分間を抽出し、分散を求め比較した。 R波振幅、RR間隔は循環血液量減少に従い分散が減少したが、RR間隔の分散は30%脱血時を最小として40%脱血時には増加した。返血による循環血液量増加における変動では、R波振幅の分散は急速に増加したが、返血量20%をピークに下降した。一方RR間隔は返血量が増加しても増加せずHES輸液時に急速に増加した。大腿動脈圧のパルス振幅の分散は、循環血液量の減少に伴い増加し最大脱血時にピークをみたが、返血の増加に伴い減少した。脈波周期の分散は脱血の増加に伴う変動はなく、返血の増加に伴い顕著に増加した。プレティスモグラムのパルス振幅の分散、脈波周期の分散は、それぞれ脱血量の増加に伴い増加し返血量の増加に伴い減少した。 RR間隔の変動量(DeltaR/DelatBP)は脱血量10%、40%にて一時的なピークを示した。輸液応答性(定量の輸液にて最大の循環動態指標を改善できる出血量)として両者が候補と考えられるが、対象データとなるプレティスモグラムの脈波振幅の変動量が脱血10%より急激に増加することより、現段階では10%脱血時であると推定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標は 1)動物実験モデル(フェーズ-1):麻酔中に循環変動を来たす薬剤の投与無しかつコントロール換気下にて、出血量(返血量も含む)とRR間隔、動脈血、プレティスモグラムの脈波振幅の呼吸による変動量の比較により輸液応答性を求める。 2)動物実験モデル(フェーズ-2):上記動物実験モデルと同様に、静脈麻酔薬(プロポフォール、ミダゾラム)を投与・維持し、同様に出血、返血を繰り返し輸液応答性に対する圧受容体のRR間隔変動への影響を評価する。 の予定であったが、以下の理由により、フェーズ-1の実験結果の解析に時間を要し、フェーズ-2の進行が遅れて(中途)いる。RR間隔、脈波振幅の呼吸性変動を求める場合、RR間隔、脈波振幅値の変動量あるいは、RR間隔/平均RR間隔、脈波振幅/平均脈波振幅値を採用するかの決定する必要がある。RR間隔の変動量が同じであっても、平均RR間隔の小さい場合がより相対的な変動量が多いことがわかる。このための補正を行わないと心拍数の大小により、変動量の評価が異なる結果となる。このための補正作業を行っている。近々に完了予定であり、遅れの影響は最小限となると見積もられる。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験のフェーズ1(吸入麻酔薬)、フェーズ2(静脈麻酔薬)に加えて、カテコールアミン投与グループの出血-RR間隔、脈波振幅変動量を測定・分析する。輸液応答性を示す指標値として、RR間隔、動脈波形またはプレティスモグラムの脈波変動量が適切であるかをジャックナイフ手法により分析する。 また、臨床研究において、動物実験から得られた知見の検証を行う。出血の多い症例(1000ml以上)を選定し、出血量と患者モニターより得られる各指標値の関連を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.実験動物(豚12匹) 2.実験用消耗品(麻酔、筋弛緩、スワンガンツーカテーテルなど) 3.論文投稿(較正、別刷り含む) 4.学会参加費(旅費、参加費含む) に充当する。
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