2013 Fiscal Year Research-status Report
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23659739
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森田 耕司 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (30115513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00377748)
白石 義人 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (00135253)
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Keywords | 動脈圧の脈波振幅呼吸変動率 / 心電図RR間隔の呼吸変動率 / パルスオキシメータ脈波振幅変動 / 輸液応答 |
Research Abstract |
【目的】適切な輸血・輸液量の判断には、十分な尿量と適切な比重、動脈血圧の安定、平均心拍数の安定などの定性的患者観察に加えて、心電図RR間隔の呼吸変動量(ΔRR)が指標とできないか検証する。 【方法】豚6匹(平均体重:25.2kg)を対象にイソフルラン2.5%にて麻酔導入後、動脈圧の脈波振幅呼吸変動量(ΔPP)およびパルスオキシメータ脈波振幅変動量(ΔPOP)、ΔRRを測定し、コントロール値とした。続いて、推定全血液量の10%(175ml)の輸液(サリンヘス:ヒドロキシエチルデンプン6%輸液剤)、20%(350ml)の脱血を3回繰り返し、循環血液量の変化の都度、循環動態安定のため20分経過後、ΔPP、ΔPOPおよびΔRRを測定し比較した。 【結果】コントロール時、初回の(10%輸液時、20%脱血時)、2回目の(10%輸液時、20%脱血時)、3回目の(10%輸液時、20%脱血時)において、ΔPPでは、それぞれ26.0、(15.8, 32.1)、(17.0, 43.1)、(23.4, 51.4)であった。また、ΔPOPにおいては、それぞれ65.0、(53.0, 68.2)、(58.2, 65.8)、(61.2, 73.2)であった。一方、ΔRRではそれぞれ1.49、(1.84, 1.70)、 (1.81, 1.64)、(1.70, 1.50)であった。 【結論】ΔPP, 一回拍出量変動量(SVV), ΔPOPは、コントロール時に比して、循環血液量減少、増加時にそれぞれ増加、減少することが判っているが、ΔRRはそれらとは逆にそれぞれ減少、増加した。つまり、循環血液量の減少、増加による変動量においては、ΔRRはΔPP、ΔPOP、SVVと逆相の変化を示すことが判明した。また、ΔRRの呼吸性変動量の変化はΔPP、ΔPOP、SVVの呼吸性変動量と同様に、適切な輸血・輸液量の判断が可能であると結論される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
輸液応答性の有無は循環血液量の10%輸液において有意な心拍出量増加が得られることと定義される。本研究の目的は、心電図RR間隔の呼吸変動量(ΔRR)が輸液応答性の有無の判定に使用できる事を見出すことである。その実証のため、すでに定説となっている動脈圧の脈波振幅呼吸変動量(ΔPP)、パルスオキシメータ脈波振幅変動量(ΔPOP)の測定に加えて、心電図RR間隔の呼吸変動量(ΔRR)を輸液応答判定実験プロトコール(以下)にて研究を進めた。 コントロールから循環血液量の10%輸液後(ヒドロキシエチルデンプン6%輸液剤)、循環血液量20%を脱血後、2回目の輸液、脱血後、3回目の2回目の輸液、脱血後それぞれの呼吸変動量を測定した。 その結果は実験の概要で示したが、呼吸による動脈圧の脈波振幅変動量(ΔPP), パルスオキシメータ脈波振幅変動量(ΔPOP)においては、コントロール時に比して、循環血液量増加時に呼吸性変動量が減少(心拍出量は増加)し循環血液量減少時に呼吸性変動量が増加(心拍出量は減少)したが、心電図RR間隔の呼吸変動量(ΔRR)ではそれらとは逆に減少した。つまり、循環血液量の増加時には変動量が増加、循環血液量が減少時には増加した。循環血液量の増加と減少による呼吸性の変動量においては、ΔRRはΔPP、ΔPOPと増減逆相の変化を示すことが判明したが、ΔRRの呼吸性変動量の振幅変化はΔPP、ΔPOPの呼吸性変動量の振幅と同様に、有意な変化を示すことより、適切な輸血・輸液量の判断が可能であるとの本研究当初の目標を証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の結論をもたらす統計的有意検定力を増すため、動物実験の症例数(現在6例)を増加(10、12例程度)させることに注力する。 引き続いて、豚6匹(平均体重:25.2kg)を対象にイソフルラン2.5%にて麻酔導入後、気管切開後挿管し動脈血二酸化炭素分圧40mmHgを目標に一回換気量500ml、呼吸数13回/分にて強制換気を行った。麻酔導入後、循環動態の安定を確認した後、動脈圧の脈波振幅呼吸変動量(ΔPP)およびパルスオキシメータ脈波振幅変動量(ΔPOP)、ΔRRを測定し、コントロール値とした。続いて、推定全血液量の10%(175ml)の輸液(サリンヘス:ヒドロキシエチルデンプン6%輸液剤)、20%(350ml)の脱血を3回繰り返し、循環血液量の変化の都度、循環動態安定のため20分経過後、ΔPP、ΔPOPおよびΔRRを測定し比較する。 本研究の成果発表においては、現時点での結果を第36回日本手術医学会総会(平成26年9月26~27日)に演題「心電図RR間隔の呼吸変動量と循環血液量の関係」として発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験のプロトコル見直しによる当初予定期間内での研究修了の遅れから研究延長申請を行ったことより、予定した動物実験頭数の減少が生じ、経年経費が見込み額より減少したため。 動物実験の対象頭数を増加し、統計的有意検定感度を増加させることに使用する。また、雑誌投稿にかかわる経費に使用する。
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Research Products
(1 results)