2012 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイドの作用におけるtoll-like receptorの関与
Project/Area Number |
23659742
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角山 正博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30273444)
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Keywords | オピオイド / 耐性 / toll-like receptor / ノックアウトマウス / マイクログリア |
Research Abstract |
モルヒネを代表とするオピオイド鎮痛薬は、長期投与により耐性が生じることが大きな欠点である。耐性の成立機構に脊髄マイクログリアの活性化が関与するとされているが、その詳細は不明である。本研究では、モルヒネ耐性におけるマイクログリアの関与に関して検討を行った。マウスにモルヒネを5日間投与し続けると、鎮痛作用は20%程度まで低下するが、マイクログリアの活性化を抑制するミノサイクリンを併用すると、鎮痛作用は60%程度にしか低下せず、モルヒネ耐性成立にマイクログリア活性化が関与することが確認された。モルヒネによるマイクログリア活性化にtoll-like receptor 4(TLR4)が関与するという仮説を検証するため、TLR4ノックアウトマウスおよびTLR4に変異を有するC3H/HeJマウスについて、モルヒネ耐性を検証した。ノックアウトマウス、変異マウスのいずれにおいても、野生型マウスと同様のモルヒネ耐性が成立し、モルヒネによるマイクログリア活性化にはTLR4は関与しないことが示唆された。以上の結果は、モルヒネ耐性の成立にはマイクログリア活性化が関与するが、モルヒネによるマイクログリア活性化にはTLR4以外の機序が関与することを示唆している。 ヒト末梢血由来T細胞およびヒトT細胞由来細胞株でモルヒネ投与後にT細胞受容体を活性化すると、モルヒネ投与を行わない場合に比べて、extracellular signal-regulated kinaseの燐酸化は増強され、nuclear factor κB経路の活性は減弱されることが明らかになった。これらの作用はナロキソンで抑制されないことから、オピオイド受容体を介さない作用であることが示唆された。
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