2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659749
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川口 章 東海大学, 医学部, 教授 (30195052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 蘇生学 / 家屋火災 / 有毒ガス / 蘇生 / 外呼吸 / 内呼吸 |
Research Abstract |
家屋火災では、一酸化炭素(CO)やシアン化水素(HCN)が発生し、いまだに多くの犠牲者が出ている。COは血色素と結合して外呼吸を阻害し、シアン化物イオン(CN-)は酸素代謝酵素に結合して内呼吸を阻害するため、我々はCOに対してHemocyclodextrin (HemoCD)、CN-に対してはImidazolecyclodextrin(ImCD)という高親和性の全合成鉄ポルフィリンを開発し、体外実験 (in vitro) により基本的検討の後、動物実験(in vivo)によって現行の治療法と比較し、従来なかった家屋火災時の急性ガス中毒の特異的解毒剤としての有用性を検討してきた。ImCD:体外(in Vitro)実験により、用量依存性にシアン化水素(HCN)の毒性を中和することを示した。大量合成に成功したため、動物実験(マウスin vivo)によって、最新の治療法(ヒドロキシコバラミン)と同等で、従来型の治療法(亜硝酸ナトリウム)より統計学的に優れた解毒効果を確認できている。HemoCD: 体外(in Vitro)実験によりCO結合能は確認できた。CO中毒に拮抗するだけの大量合成が困難なため、微量で効果を発揮する酸素運搬体としての有用性を先に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ImCD:培養細胞を用いた体外(in Vitro)実験により、用量依存性にシアン化カリウム(KCN)と等モルでその毒性を中和することが判明した。マウスin vivoにおいて、KCN胃内投与直前(等モル)および投与後の呼吸停止後の静脈内投与(倍モル)よって、最新の治療法(ヒドロキシコバラミン)と同等で、従来型の治療法(亜硝酸ナトリウム)より統計学的に優れた解毒効果を確認できた。HemoCD: 体外(in Vitro)実験によりCO結合能は確認できた。CO中毒に拮抗するだけの大量合成が困難なため、微量で効果を発揮する酸素運搬体としての有用性を先に検討している。サルに静脈内投与すると血中ヘモグロビンからCOを奪って脳血管バリアー(BBB)を通過することが推測されたが、その生理学的意義について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
残余理由:動物実験が順調であり、n数が予想以下におさまったため。今後の研究の推進方策:ImCD:マウスin vivoにおいて、解毒作用の用量・作用関係を同定し、他薬剤との優位性を検討する。次にラットin vivoにおいて、KCN静脈内投与による呼吸停止後の静脈内投与よって、血行動態、呼吸動態、酸素代謝動態を詳細に観察し、他薬剤との優位性を検討する。HemoCD: CO中毒に拮抗するだけの大量合成に努める一方、脳血管バリアー(BBB)を通過する特性を利用した酸素運搬体・エネルギー代謝促進剤としての有用性を、脳虚血・再還流モデルで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ImCD・HemoCDともに、(1) 実験動物(マウス・ラット)の購入・飼育(2) 薬剤の調整(ImCD・HemoCDの大量合成)およびシアン化カリウム・CO調整ガス購入(3) 解毒効果の生理学的検査(血行動態・血液ガス・サイトカイン等)および形態学的 (組織標本作成・免疫組織学染色)などの検査費用に用いる。サンプル入手に伴い、計画通り実施してゆく。
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Research Products
(5 results)