2011 Fiscal Year Annual Research Report
軽度外傷性脳損傷後に生じる高次脳機能障害に対する多施設コホート研究
Project/Area Number |
23659844
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 崇生 京都大学, 医学研究科, 講師 (40328810)
上田 敬太 京都大学, 医学研究科, 助教 (60573079)
西山 慶 京都大学, 医学研究科, 講師 (90447970)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 軽度外傷性脳損傷 / 高次脳機能 / CT / MRI |
Research Abstract |
背景: 軽度外傷性脳損傷(mild traumatic brain injury ; MTBI)の予後は従来良好であると考えられていたが、近年、その受傷後に「長期間遷延する高次脳機能障害(認知障害、記憶障害など)」が生じることが報告されている1。しかしながら現状では、多くの患者がフォローアップも無く未治療となっており、重大な問題となっている。 方法: 選択基準・研究方法:16歳以上の外傷性軽度脳損傷(救急外来到着時のGCS13点~15点)の患者を対象とし、多施設前向き観察研究にて行う。高次脳機能評価:全例に受傷2日後及び3カ月後に、代表的かつ簡便な神経心理学的検査であるMMSE・trail-making test(A and B)・三宅式記銘力検査・言語流暢性検査を行い、高次脳機能・日常行動を評価する。 結果: 急性期・慢性期双方において、代表的な高次脳機能であるMMSEに比して、TMT-A、TMT-B、三宅式記銘力検査(無関係)では異常所見を認めるケースが多かった。MMSE、TMT-A、TMT-B、三宅式記銘力検査(無関係/無関係)、言語流暢性検査(カテゴリー)については、急性期と慢性期の検査結果に有意な相関を認めた。一方で、言語流暢性検査(文字)については、急性期と慢性期の検査結果に有意な相関は認められなかった。また、急性期の頭部CTにおいて、20%にしか異常所見を認めなかった。しかしながら、CTで明らかに異常を認めなかった患者のうち、4名にMRIを撮影したところ、3名に明らかな異常所見が認められ、MTBIにおけるCT検査の感度が高くないことが示唆された。 考察: 以上の結果より、MMSE/CTは感度が低く、MTBI後の評価を行うためには、MMSE/CTのみならず、TMT-A、TMT-B、三宅式記銘力検査、言語流暢性検査、MRIなどの検査を行って行く必要があると考えられた。今後も本研究を継続し、MTBI後に生じる高次脳機能障害の評価法開発に向けた基盤となるデータを収集・解析し、neuroimagingによる情報を解析しながら、急性期の頭部MRI所見と高次脳機能障害の関連性を検討し、その発生メカニズムの解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)