2012 Fiscal Year Research-status Report
全血液成分を対象とするプロテオミクスによる脳低体温療法に関する網羅的研究
Project/Area Number |
23659845
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
織田 禎二 島根大学, 医学部, 教授 (50448198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健一 島根大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202328)
橋口 尚幸 島根大学, 医学部, 教授 (70322188)
清水 弘治 島根大学, 医学部, 助教 (70548578)
庄野 敦子 島根大学, 医学部, 助教 (90343285)
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Keywords | 脳低体温療法 / プロテオミクス / 血液 / 血清 / 赤血球 / 血小板 / 好中球 / 単球 |
Research Abstract |
蘇生後脳症に対する脳低体温療法について、それが生体へ与える影響を血液成分ごとに最新のプロテオミクスにて解析する研究である。血液サンプルを冷却前、冷却24時間後、復温終了後の3点で採取して解析し、冷却前の値との比で比較する計画である。 平成24年度の研究実績は以下の通りである。 1)血漿成分のプロテオミクス解析では、全部で111個の蛋白質がその増減とともに同定できた。冷却24時間維持後では有意に増加(>1.3)した蛋白質は20個、有意に減少(<0.77)した蛋白質は4個であった。復温終了後では、増加した蛋白質は13個、減少した蛋白質は6個であった。増加した蛋白質では補体系など免疫に関係するものが多かった。 2)各血液成分への分離法について本学附属病院検査部と共同で、血漿、赤血球、血小板、好中球、単球への効率的分離法を検討した。密度勾配遠心法、magnetic beadsを用いる方法を組み合わせて分離しフローサイトメトリーでバリデーションを行った。今のところ、純度は好中球:79.2%~96.6%、単球:50%~67%であった。単球については十分ではなく、次年度さらに純度を高める工夫を行うこととした。 3)本学附属病院へ搬送される蘇生後脳症の症例が少ないため、近隣の病院との共同研究を行うこととした。現在、共同研究を開始して症例が増加しており、サンプル採取を月に1~2例のペースで行っている。10例以上の症例が集まってからまとめて解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の目標としていた病院検査部と共同での効率的血液成分分離法・バリデーション法の開発は順調に進んでいる。 また血漿サンプルの解析では冷却・復温に伴う蛋白質増減について100個以上の蛋白質について同定できた。しかし、当院の症例数が少なくその点で研究の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数を確保するため、平成24年度末に近隣病院と共同研究を行うことが可能となった。 これまでの実績から10症例は確保できる見通しのため、研究に必要な症例数を確保できるものと考える。 また、各血液成分分離の純度を向上させるため、今後も検査部と共同で分離法の改良を重ねる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は以下の項目に使用予定である。 1)血液成分の分離・フローサイトメトリー法によるバリデーションに用いる消耗品 2)プロテオミクス関連の消耗品(iTRAQ試薬など) 現在研究分担者の研究費のうち、未使用となっている研究費がある。また研究代表者の研究費も一部未使用である。これは平成24年度の症例数が予定より少なく、解析に使用した消耗品が少なかったことなどによる。平成25年度は症例数が増加しており、iTRAQ試薬は高額であり、平成24年度の未使用額と平成25年度の研究費はすべてこれらに充当する予定であり、未使用額は発生しないと思われる。
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