2013 Fiscal Year Annual Research Report
全血液成分を対象とするプロテオミクスによる脳低体温療法に関する網羅的研究
Project/Area Number |
23659845
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
織田 禎二 島根大学, 医学部, 教授 (50448198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健一 島根大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202328)
橋口 尚幸 順天堂大学, 医学部, 教授 (70322188)
清水 弘治 島根大学, 医学部, 助教 (70548578)
庄野 敦子 島根大学, 医学部, 助教 (90343285)
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Keywords | プロテオミクス / 低体温 / 脳低体温療法 / 免疫 / 副作用 |
Research Abstract |
蘇生後脳症に対する脳低体温療法を実施した9症例の低体温導入直前、導入24時間経過後、復温終了の3時点で採血を行い、血漿成分と血球成分を分離した。血漿サンプルのプロテオミクス手法による網羅的解析にて、188個の蛋白質を同定し、低体温導入と復温による蛋白質発現変化をバイオインフォーマティクスにて解析した。低体温導入により、セリンプロテアーゼインヒビター、免疫関連蛋白質が有意に増加した。一方復温により、これらのタンパクの他に、アポリポプロテイン、免疫関連タンパク、補体成分の有意な増加を認めた。これら9症例のうち、3症例は全く後遺症なく退院したが、6症例は死亡1例を含め高度脳障害の残存を認めた。蛋白質発現変化と予後との関連を検討すると、アポリポプロテイン C III, アポリポプロテイン A-II、ハプトグロブリン、アポリポプロテイン E、ヴィトロネクチン、補体成分C1r、プロトロンビンなど、酸化ストレス関連蛋白、免疫関連蛋白、凝固線溶系のいくつかのタンパクで予後との関連が示唆された。 血球成分の分離精度についてフローサイトメトリー法で検討した。本研究期間中に好中球、単球の分離法の改良を試みたが、基準となる精度(純度95%以上)を安定的に達成することはできず、今後の検討課題となった(好中球では純度79%-97%)。 今後は、より多くの症例数で予後予測因子候補を検討すること、低体温・復温による血液中タンパク質の網羅的解析により低体温の臓器保護効果・副作用発現機序について解明をすすめることが求められる。
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