2011 Fiscal Year Research-status Report
間葉系細胞の分化転換機構解明を目指したエピジェネティック解析
Project/Area Number |
23659862
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90252692)
荒木 良子 独立行政法人放射線医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (40392211)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 細胞分化 / エピジェネティック解析 / 転写因子 / 間葉系細胞 |
Research Abstract |
本年度はMyoDの発現誘導による分化転換モデルの確立を行い、さらにAza-cytidine処理による線維芽細胞から筋肉への分化転換モデルと比較し、エピジェネティックな変化の解析を行った。Estradiol 添加でMyoDを発現誘導できるレトロウィルス pBabe-MyoD-ERを線維芽細胞10T1/2に対して感染させ、Estradiol 、tamoxifen(4-OHT)により筋芽細胞様の形態変化が3日以内に観察されることを確認した。また Aza-cytidine処理時ならびに4-OHTによる発現活性化時に ヒストンアセチル化阻害薬TSAを処理すると、双方の筋肉への分化転換が抑制された。さらにその際には、MyoDのターゲット遺伝子であるmyogeninの発現誘導が顕著に阻害された。 分化転換におけるmyogeninの発現にはプロモーターのDNAメチル化の変化を伴うことが知られているので、次に、myogeninプロモーターのシトシンメチル化解析をbisufate sequencingにより行った。エンハンサーから第一イントロンに至る領域でのすべてのシトシンのメチル化を解析したところ、Aza-cytidine処理時ならびに4-OHTによる発現活性化時によって 局所で特異的に脱メチル化するシトシン部位を同定した。その部位はTSAによりもとのメチル化状態へ戻った。non-CpGについては低メチル化状態のまま変化が認められず、このことはメチル化感受性制限酵素を用いた方法でも確認した。これらにより分化転換において極めて重要なシトシンの脱メチル化部位を特定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化転換モデルの確立とエピジェネティックな変化の解析に着手する、という当初の目的を達成することができた。すなわちはMyoDの発現誘導による分化転換モデルとAza-cytidine処理による線維芽細胞から筋肉への分化転換モデルと比較した。ヒストンアセチル化阻害薬TSAを処理すると、双方のモデルでの筋肉への分化転換が抑制されるという興味深い結果を得た。その上でDNAメチル化の変化を詳細に検討したところ、間葉系細胞である筋肉への分化転換に極めて重要な脱メチル化部位をヌクレオチドレベルで同定できた。脱メチル化部位はTSAでもとのメチル化レベルへ戻った。今後この脱メチル化部位の分化転換における機能を解析する方向へ研究を展開する基盤を確立できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
分化転換に極めて重要な脱メチル化部位を同定できたという前年度の結果に基づき、その部位の脱メチル化における機能、その機能の制御に関わる分子の候補を同定することで、分化転換機構の一部を解明することを目指す。具体的には1)脱メチル化部位の機能解析を行うために、脱メチル化部位のエンハンサープロモーターを単離し、転写活性化能を指標とした機能解析を行う。すなわち同部位のシトシンに人工的にメチル化を行ったもの、あるいは一部のシトシンを別の塩基に置換して他の部位、いくつか特異的な部位だけのシトシンを残し、その部位のメチル化を行ったものを用意する。その上でそれらの転写活性化能を比較する。このことで転写活性化に必要な脱メチル化シトシン部位を同定する。2)次に、そのシトシン近傍に結合するエピジェネティック関連タンパクをスクリーニングする。その候補としては他のシステムでの脱メチル化反応に関わることが知られている分子を候補とする。DNA配列データベース上の情報も参考にする 3)それらの分子が実際に クロマチン上の当該部位に結合しているか否かを検討する。これらにより脱メチル化から分化転換へのメカニズムの一部が解明されることが期待される。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(物品費)今年度は脱メチル化部位のエンハンサープロモーターの解析とchip、抗体実験が主たる研究になるので、分子生物学実験試薬、抗体ならびに細胞培養、生化学実験等に必要な消耗品を使用する。(旅費)また成果発表の一環として学会発表を予定しており、そのための旅費を使用する(日本分子生物学会)(謝金)chipについては共同研究先である大阪大学の木村教授の研究指導を予定しており、謝金を用意する。(その他)研究成果についてはだエータがまとまり次第 論文発表する予定であり、その時の投稿料として用意する。
|