2011 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌治療による障害を軽減した低侵襲治療体系構築への再生医学の応用
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23659921
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 映仁 長崎大学, 大学病院, 客員研究員 (50585396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 誠悟 長崎大学, 大学病院, 講師 (80363456)
池田 久住 長崎大学, 大学病院, 講師 (00244088)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞治療 / 放射線性舌炎 / 骨髄由来細胞 |
Research Abstract |
本研究は、頭頸部癌の放射線化学療法に併発する口腔粘膜炎や唾液腺萎縮といった障害を軽減する細胞治療法を開発することを目的としている。具体的には、血管や心筋、肝臓や骨組織等の再生や脳梗塞治療などで示唆されている骨髄由来細胞(BMDC)を用いて、それらを静脈経由にて投与することで、口腔粘膜炎や唾液腺萎縮の障害予防や機能回復を試み、それによる効果発現のメカニズムを解析することが本研究のゴールである。本年度は、まず口腔粘膜炎のモデルとして、マウスの舌への放射線照射と抗癌剤の投与によって舌炎モデルを作出することから着手した。放射線照射4時間前に抗癌剤としてシスプラチン(11mg/kg)を腹腔内投与したマウスに、X線照射器を用いて10-25Gyの間で舌に照射を加えた。その結果、15-25Gyの線量において、照射後7日目に舌背部に潰瘍の形成が認められた。しかしながら、18Gy以上では明瞭な潰瘍の形成が認められたものの、マウスが照射後10-20日ほどで死亡することが分かった。過去の研究では、22Gy前後の照射がマウスの舌炎惹起の条件として使用されていたが、本研究では抗癌剤の併用があるため、より低線量の照射によるモデルの作出が必要であった。現在は、15-17Gyの間で照射を行なうことで、マウス舌炎モデルを作出している。さらに、照射直後の障害マウスに同種マウスから単離したBMDCを尾静脈投与することで、障害の発現予防の効果について、検討を行なっている。そして、一部ではあるが、BMDC投与群での口内炎部の縮小傾向を認めている。来年度は、舌炎と唾液腺萎縮に対するBMDCの投与効果について、その投与条件を含めて、効果発現のメカニズムについて、詳細に検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭頸部癌放射線性化学療法の障害の1つである口内粘膜炎モデルとしてのマウス舌炎モデルを作出でき、現在細胞治療の効果発現の評価に実験の主体が移っていることから、本研究の期間内にある程度の結果を得ることができると予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
舌炎と唾液腺萎縮の障害マウスに対して、BMDC投与を行なうことで、それらの障害の軽減を誘導する投与条件やメカニズムを明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用動物の購入に加えて、移植用器具や採取した障害組織の解析に関わる試薬、抗体や器具が必要である。又、次年度は再生医療学会と口腔科学会での学会発表を予定しており、そのための旅費も必要である。
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