2012 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌治療による障害を軽減した低侵襲治療体系構築への再生医学の応用
Project/Area Number |
23659921
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 映仁 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (50585396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 誠悟 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80363456)
池田 久住 長崎大学, 大学病院, 講師 (00244088)
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Keywords | 放射線性舌炎 / 細胞治療 |
Research Abstract |
口腔癌治療の選択肢として、機能温存の可能な放射線化学療法が注目されているが、副作用としての口腔粘膜炎など障害は患者のQOLを著しく低下させている。一方、近年骨髄由来細胞(BMDC)による細胞治療の可能性が、虚血性心疾患や脳梗塞など様々な疾患において示唆されている。そこで細胞治療によって網羅的に放射線障害を軽減、もしくは予防する可能性を探るため、その第一歩として、BMDC移植の口腔粘膜炎に対する効果を昨年度より検討している。 実験は、口腔粘膜炎モデルとして、C3Hマウスの舌に放射線照射(16Gy)を行ない、舌炎を惹起させた。BMDCはドナーマウスの大腿骨より採取し、5×106個の細胞を照射直後のモデルマウス尾静脈に投与した。その後、照射2, 5, 7, 9, 11, 14日目に舌を採取し、組織学的・免疫組織化学的に解析を行なった。照射2、5日目の粘膜上皮において、細胞投与群では非投与群と比較して、アポトーシスを示す細胞の減少を認め、c-kit陽性細胞の増加を認めた。照射7日目では、組織採取の全期間を通して、非投与群で潰瘍形成が最大になるが、移植群では潰瘍形成の抑性が認められた。又、投与群では組織学的に基底層にPCNA陽性細胞の増加、および基底層直下にvWF陽性部位の亢進を認めた。さらに、照射9、11日目では投与群の潰瘍消失や縮小の亢進が認められた。即ち、放射線性の舌炎障害の抑性あるいは治癒にBMDC投与の効果を認めた。放射線性の萎縮唾液腺と同様に、口腔粘膜炎に対する骨髄由来細胞の細胞治療の可能性が示唆される。
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