2012 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境下における口腔癌幹細胞と分子標的治療薬に関する基礎的研究
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23659950
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳴瀬 智史 長崎大学, 大学病院, 助教 (70549609)
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Keywords | mTOR阻害薬 / リンパ節転移 / 癌幹細胞 / 低酸素 |
Research Abstract |
【具体的内容】 今回研究代表者はmTOR阻害薬の感受性を調べるため、口腔扁平上皮癌細胞株 7株を用いて、MTTアッセイにて検討を行った。さらに、正常酸素(37℃、5%CO2、19%O2)および低酸素(37℃、5%CO2、0.1%O2)を培養条件に設定し、癌幹細胞マーカー(CD133、Oct-4, CD44)の発現および抑制能についてWestern blot法を用いて検討した。MTTアッセイにて口腔扁平上皮癌細胞株7株すべてにおいて、濃度依存的に増殖能の抑制が確認できた。その中で、最も感受性の高いSASを検討する細胞株として選択した。Western blot法にて、正常酸素下と比較し低酸素下での癌幹細胞マーカーの発現量が上昇し、さらにmTOR阻害薬の濃度に依存して、癌幹細胞マーカーの発現が抑制されることが確認できた。さらにVEGF-CおよびVEGF-R3といったリンパ節転移に関与する遺伝子も抑制されることが確認できた。浸潤能、遊走能についても濃度依存的に抑制が確認できた。そこで、研究方針を一部変更し、T1およびT2舌癌における手術検体を使用。免疫組織化学染色を行い、VEGF-C,VEGF-R3さらにはリンパ管形成のマーカーであるpodoplaninの発現とリンパ節後発転移との相関性について検討した。結果として、後発転移群では全例VEGF-C,VEGF-R3の発現がみられ,podoplaninの発現も非転移群と比較し、過剰発現がみられた。 【意義および重要性】 これまで得られた結果により、mTOR阻害薬は口腔扁平上皮癌の増殖能抑制、癌幹細胞機能の維持を破綻させることだけではなく、リンパ節転移に関与する遺伝子の抑制に対しても有効であり、mTOR阻害薬の口腔癌への応用は今後の新たな分子標的治療として有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)