2013 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムをターゲットとした元素置換型齲蝕予防法の開発
Project/Area Number |
23659960
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 恵美子 東北大学, 大学病院, 助教 (10264251)
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Keywords | う蝕予防 / エナメル質 |
Research Abstract |
エナメル質は生体内で最も硬い組織であり、う蝕により破壊されると、人工物による方法でしか修復することができない。これまでフッ化物を用いた齲蝕予防が行なわれてきたが、これはハイドロキシアパタイト内のOH基をフッ素に置換する方法で、耐酸性を向上させるものであるが、エナメル質内には、マグネシウムを含有するアパタイトも存在し、この構造が酸に対しての弱点となっている。また、アパタイト中のリン酸イオンが炭酸イオンに置換した炭酸アパタイトもエナメル質中に存在するが、この炭酸アパタイトも酸に対する抵抗性が低いことが知られている。そこで、本研究では、このマグネシウムを他の元素に置換し、耐酸性を向上させる技術の開発を目的とする。 アルミノシリケートグラスの表面を酸化シリカの膜でをコートし、ポリアクリル酸を処理すると、フッ素やストロンチウムを放出するフィラーが作成できる(PRG技術)。この技術を応用し、フッ素やストロンチウムを徐放する薄膜を用いて、初期う蝕部(白濁部)に応用した結果、再石灰化の促進により歯の色調改善が認められた。さらに、乳歯48歯(半数はエナメル質形成不全などのう蝕ハイリスク群)に対し本薄膜を応用した結果、1年経過症例においてう蝕の発生は認められなかった。このフッ素やストロンチウムを徐放する薄膜は、3か月程度歯面に保持されるが、ブラッシングの十分できていない不潔域においては、長期的に保持されることが分かった。以上の結果から、フッ素やストロンチウムを用いたエナメル質のイオン置換技術は、齲蝕予防に極めて重要な手法と考えられる。
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