2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20192403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50546471)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔細菌叢 / 舌苔 / 経管栄養 / 寝たきり高齢者 / パイロシーケンス |
Research Abstract |
343名の舌苔フローラについて、HaeIIIに加えてAluIの制限酵素によるT-RFLP解析行い、両者のピークパターンの組み合わせによるT-RFLP解析を行い、データの再分析を行った。この解析では、複数のピークパターンから各細菌種が全体に占める割合が計算できるよう独自開発したPCソフトを使用した。しかし、分析結果を詳細に検討すると細菌種の同定結果に若干の矛盾点があったことから、T-RFLPはパターン分類に限定して用いて、舌苔フローラに占める細菌種の同定にはパイロシーケンスを用いた。T-RFLPパターンでは経口摂食者群 (297名) と経管栄養者群 (46名) 間で細菌叢の構成が明らかに異なることが確認され、さらに対象者を寝たきりの者に限るため施設を絞った98名の場合(経口栄養者:54名、経管栄養者:44名)でもその差は明らかであった。 パイロシーケンス解析の対象者は、前述の寝たきりのものから経口栄養摂取者16名、経管栄養施行者15名とした。得られたDNAシークエンスをRibosomal Database Project等の公共の16S rRNA遺伝子配列データベースに照合することで、その細菌群集に含まれる菌種の構成と割合を計算したところ、また,菌属レベルでは、T-RFLP解析で予測された通り、口腔常在菌として一般的なベイヨネラ属,ストレプトコッカス属が少ない一方,マイナーなバクテリアであるコリネバクテリウム属,ペプトストレプトコッカス属,フゾバクテリウム属など22菌属が有意に高率で検出された。また,経管栄養者のみで,シュードモナス属(1人)やアシネトバクター属(3人)が認められた。さらに詳細に調べると,通常ヒトの口腔では検出されることが少ない好気性グラム陽性桿菌であるコリネバクテリウム・ストリアツムやB群β溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・アガラクチアが検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した内容は既に学術論文として国際誌に報告しており、計画は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り経管栄養施行高齢者に認められる菌種について、それぞれの菌種の量と、サンプル採取前後一年間の発熱日数、肺炎の発症との間に関連がないか検討する。その他、歯列の状態 (残存歯数、DMF歯数、補綴の種別)、口腔衛生状態 (プラークインデックス、歯石沈着)、義歯の状態、舌の状態 (舌苔量、舌の湿潤度) とこれらの菌種との関連についても検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に計画して本研究の学会発表については、予定していた学会の日程と講義の日程が重複したため、本年度は学会に参加して研究成果を発表することを断念したため、146659円の研究経費が次年度に繰り越された。この経費については今年度の、学会発表の経費として上乗せして、大学院生の学会発表の旅費として充当することとした。また、パイロシーケンスの受託解析が物品費として計上されるものとして予算立てしていたが、実際にはその他の経費として計上されることから、最終的には物品費からその他の経費に予算を大きく移すことになる。
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