2012 Fiscal Year Research-status Report
看護系大学院生の論文作成のための統計学教育方法及び支援システムの検討
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23660004
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中野 正孝 三重大学, 医学部, 教授 (00114306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90113969)
西出 りつ子 三重大学, 医学部, 准教授 (50283544)
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Keywords | 看護系大学院 / 看護系大学院生 / 看護系大学 / 看護系大学生 / 論文作成 / 統計学教育法 / 学習ソフト / 支援システム |
Research Abstract |
前年度に実施した「看護系大学・大学院における統計教育に関する実態調査」の詳細な検討と、インターネット及び聞き取りによる個別調査を継続し、問題点や課題をさらに整理した。その結果、看護学系大学院における統計学受講者の事例などを総合的に検討したところ、大学院入学以前に統計学を履修していても、統計学の知識・技術が「ある程度ある」大学院生は1割未満であり、統計学をほとんど学習していない大学院生は3割程度もいることなどが推測された。また、看護系大学生を対象とした調査では、「二変数間の関係」及び「検定と推定の考え方」が統計学を理解する上で鍵となる重要な項目であることが明らかになった。それらと前年度実施したクリティークの検討結果などを踏まえ、看護系大学院生の論文作成のための統計学教育方法を検討し、支援システムの作成に着手した。まず、統計の基礎的知識・技術の獲得と確認のために「統計学活用のための予備知識」としての学習プログラムを作成した。次に、看護系大学院生が実際に論文作成のために実践的かつ応用的な統計学の知識・技術を学習するための「課題の設定」と「知識・技術ユニット」を検討し、「論文作成のための統計解析入門」として学習プログラムを作成した。それら2つのプログラムに沿って、学習内容をパソコンを用いた学習ソフトを試作した。一方、学習プログラムに沿った内容に基づき、実際の授業に試験的に適応し、大学院生からの意見や感想を聞き、有用性や問題点を検討した。さらに、パソコンによる自己学習ソフトの場合、論文作成のための統計学活用の概要を理解するには有用であるが、基本的用語説明の表示などのいくつかのサポートが必要であることが明らかとなった。なお、上記の学習内容やソフトについて、他の統計学教育の専門家による評価では、概ね良好であったが、改善点の提案もいくつか示されたので、次年度のシステム開発に活かしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全年度に実施した「看護系大学・大学院における統計教育に関する実態調査」の詳細な検討と、看護系大学院生を対象とした聞き取り調査を継続し、問題点や課題をさらに整理することができた。そして、前年度に実施したクリティークの結果と、これまでに検討したPBL型統計教育の基盤となる「課題の設定」「知識・技術ユニット」などを詳細に検討し、具体的なPBLによる統計学教育方法を提案することができた。それらの内容は、看護系大学院生が実際に論文作成するに当たっての基礎的知識・技術を学習するための「統計学活用のための予備知識」と、看護系大学院生が実際に論文作成のために実践的かつ応用的な統計学の知識・技術を学習するための「論文作成のための統計解析入門」からなるものである。この統計教育方法案に沿った授業を、試験的に大学院の授業に取り入れて、講義や演習を行ったところ、好評であり、有用性は確認できたが、さらに解決すべきいくつかの課題を見出すことができた。さらに、策定した統計学教育方法に沿って「論文作成用統計学学習支援システム」の試作に着手することができた。そして、事例検討という限られた範囲ではあるが、看護系教員、統計学教育の担当者や大学院生の協力を得て、「論文作成用統計学学習支援システム」の基盤となるパソコン用ソフトを試用してもらい、意見や要望を聴取することができ、次年度の「論文作成用統計学学習支援システム」の本格的な開発に繋げることができたと考える。また、多くの専門家と教員や大学院生が、ボランティアとして研究に協力してくれたことで、人件費やその他の経費などを節約でき、予定どおりの研究成果をあげることができたと考える
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に考案した統計学教育方法及び学習プログラムについて、さらに検討するとともに、試作した「論文作成用統計学学習支援システム」をより有用性及び実用性の高いものにするため、実際の授業や講習会に積極的かつ広範に取り入れ、できるだけ多くの大学院生や看護や統計学教育を担当する教員に調査協力を依頼し、評価を含め運用上の利点や問題点などを検討する。具体的な運用の場としては、4つの大学と2つの講習会を予定しているが、これまでの研究課程で、要望があった他のいくつかの看護系大学の教員及び大学院生についても積極的に働きかけ、協力を得る予定である。そうした成果を踏まえ、統計学教育方法やモデル学習プログラムの最終案として提示するとともに、看護系大学院生のためのより完成度の高い「論文作成用統計学学習支援システム」の開発を行う。研究の分担では、研究代表者とシステム開発担当者が中心となり全員でまとめるが、学習支援システム開発のために専門的意見の提供も受ける予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度となる次年度では、前年度に提示した統計学教育方法及び学習プログラムのさらなる検討のために、4つの大学と2つの講習会の他、要望のある看護系大学院の大学院生や教員を対象にした講義や演習の実施などを通して、それらの有用性と問題点を検討する。そこで、現地調査研究を行うために調査費と旅費が必要となり、研究費として計上した。さらに、完成度の高い「論文作成用統計学学習支援システム」を開発するために必要な費用として、機器の増強に関する経費や消耗品費を計上した。また、データの整理や看護系大学院生、看護系教員や統計学教育を担当する教員に、システム評価を行ってもらうために必要な費用として、人件費や謝金を計上した。一方、Webページの更新に伴う費用も計上した。
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Research Products
(5 results)