2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23660021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 昌子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 助教 (80528894)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 基礎看護教育 / メタファ / 看護技術 |
Research Abstract |
【目的】看護技術の効果的な教授方法を検討するための基礎資料として,現在,教育や医療現場で用いられているメタファ(たとえ,比喩)について収集し,分類化することを目的とした。【方法】臨床経験3年以上の看護職者1,000名に無記名式自記式質問紙調査を郵送配布・回収し,分析した。【結果】190名(19.0%)の回答が得られ,実際にメタファを使用していたのは119名(62.6%)であった。そのうち,施設別の内訳は看護大学・短期大学・専門学校教員72名(60.5%),総合病院看護師47名(39.5%)であった。得られたメタファの技術項目は,環境,活動,清潔,食事,感染,排泄,バイタルサインズ,与薬,検査,包帯,看護過程,母性などに関するものであり,合計266個であった。技術項目で多かったものは,筋肉内注射時の注射器の持ち方で「鉛筆やペンを持つように」が37件,無菌操作時の鑷子の持ち方では「箸を持つように」で,20件であった。また,メタファの使用については,174名(91.6%)が学生や新人看護師に方法を説明しても伝わりにくかったり,言葉で伝えにくかったりするときに,活用してみたいと回答していた。【考察】メタファは教育・医療現場において,日常で使用されていることがわかった。メタファは,注射器や鑷子といった初めて触れる医療器具について,動作をイメージさせたり,経験を想起させたりするための方策として活用できる可能性があることが推察された。メタファの有用性と実現可能性については,今回の結果をもとにさらにデータを収集し,検証していく必要がある。【結論】メタファは教育・医療現場で使用されていることが確認され,注射器や鑷子といった医療器具の使用方法を伝える際に活用されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は,看護技術教育の場面において,現在使用されているメタファにはどのようなものがあるかを調査し,収集・分類することを目標にした。全国の看護系大学・短期大学・専門学校及び総合病院の看護職者190名から回答が得られた。回答率は当初の想定よりも少なく,およそ20%であったが,現在使用されているメタファの状況を把握することができた。24年度は,収集したメタファをもとにして検証する看護技術について,さらに検討した上で実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は,23年度の調査をもとにしてメタファの有用性を確認する目的で,まず学内の看護技術に関わる教員にメタファの内容を確認し,整理する。次に,4年生30名程度に研究協力を依頼し,メタファを用いた技術指導を受けた動作群とメタファを用いない指導を受けた動作群について,ビデオカメラで行動を撮影し動作分析を行い,メタファの効果について比較検討する。当初,対象者は看護技術を履修していない看護系大学生1年生30名を予定していたが,研究協力を得る施設のカリキュラム変更により,目的とする研究が困難となった。そのため,対象者を4年生30名に変更した。4年生は,看護技術についてすでに履修しているが,研究協力の有無が単位や学業成績に影響することはないこと,今後,看護師として就職するにあたって,看護技術を練習する機会となり,研究に参加することは,今後に役立つというメリットがある。また,参加しない場合も通常の学習は終了しているため不利益を被ることはない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度当初の計画よりも,研究に必要な物品等の調達を安価に行うことができたため,次年度に研究費を繰り越しすることが可能になった。また,当初24年度計画では録画用としてAVテープを使用する予定であったが,器材借用予定施設の機種変更によりAVテープが使用できなくなったため,SDカードに変更した。そのため,費用の修正が必要となった。さらに,分析ソフトの販売規定変更によりその経費が必要となったため,23年度に節約した経費を24年度に使用することとした。
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