2011 Fiscal Year Research-status Report
離職行動に影響する因子としての看護師の組織文化の捉え方の分析-価値基準との比較
Project/Area Number |
23660030
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
樫原 理恵 広島国際大学, 看護学部, 助教 (00570540)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 看護師の組織文化 / 離職 / 看護管理者 / スタッフナース |
Research Abstract |
各施設の特徴を明確にすると共に求められている組織作りの因子をより具体的に明らかにし、定着促進のための組織運営モデルについても検討することを目的に、平成20年度に調査した北陸地方における中小規模病院の看護師の組織文化の捉え方と満足感が定着可能度に影響する要因を,県別,設立条件別等に詳細な分析を追加した。その結果を施設ごとに取りまとめた。1.了承の得られた5施設の看護管理責任者9名に対し、自施設のスタッフナースが認識している組織文化と組織文化の満足感についての分析結果を報告した。また、結果を県内平均値と比較することで施設の組織文化を客観的に認識していただいた。2.分析結果を踏まえ、看護管理責任者が認識している組織文化とスタッフナースの認識している組織文化の相違について9名の対象者にインタビュー調査を実施した。調査内容は組織文化の認識の相違と合わせ、看護師の定着への組織的取組、今後の課題等について行った。3.インタビュー調査で得られたデータを質的に分析し、組織文化に対する看護管理者とスタッフナースの認識の相違の有無を明らかにした。その結果、【スタッフの捉えた組織文化に一致】【スタッフの捉えた組織文化に戸惑いのある一致】が多くみられたが、看護のあり方については【スタッフの捉えた組織文化には賛同できない】ことがあった.4.組織文化の組成因子,看護師定着への影響要因,使用尺度について再検討するために、組織文化,看護管理についての文献を収集している。また知見を広めるため、英国のNHSのレスター病院へ赴き看護管理について施設見学等を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病院立地条件,病院規模などについて対象を拡大し調査を実施行う前段階として、既存のデータを再分析し結果をまとめた。分析結果を報告すると共に、看護管理者から求める看護師の組織文化についてデータを得た。看護管理者は自施設の看護師の認識について客観的データを提示される機会が少ないため、分析結果をフィードバックすることが有意義であることを認識した。組織文化を視覚で表現することは困難であるが、分析報告書を項目毎に数値化し、グラフ化することでスタッフナースが認識している組織文化を視覚的に認識でき、理解しやすいと好評を得た。分析結果を報告することで対象者と良好な関係が構築され、有意義なインタビュー調査を実施できたと考える。看護管理責任者のインタビュー調査のデータを質的に分析した結果、看護師と看護管理者の組織文化の認識について乖離のある項目と乖離の少ない項目がおおよそ明らかとなった。看護管理責任者が実践している定着への取り組みについてもデータを得ており、現在分析中である。また新たな課題として、看護管理者の抱える課題と組織文化との関係を検証する必要性があることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在収集している文献の検討に至っていないため、それを推進するとともに新たな課題を検討する。インタビュー調査の質的分析を踏まえ、調査対象病院を選定する。新人教育制度等、看護師を取り巻く環境が変化している中で、組織文化に影響を与える要因が更に多様化していることが考えられるため、定着可能度,組織文化の測定尺度項目など質問紙について更に検討を行う。各地域,規模について比較対照群を設定し、調査対象病院を選定する。各群700名程度の看護師に対し調査することでデータを確保する。対象施設において調査協力を得るとともに施設訪問を実施し、看護管理者と面接の機会を得る。面接調査、質問紙調査に当たっては対象施設の倫理審査会に図り了承を得る。得られたデータは看護師の定着可能度に影響する因子の中でより強く影響を及ぼす組織文化について分析する。地域別・規模別について比較検討することにより,施設立地条件によって定着に必要な組織文化の相違,他の要因との相互関係について検討する。了承の得られた看護管理者に自施設の調査分析結果を明らかにしたうえで再度面接調査を実施し,組織的な定着促進行動に必要な因子を抽出する。抽出された因子をもとに定着促進に必要な看護組織文化の特徴を明確にし,組織運営モデルを検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集と、対象施設を選定するために看護系国内学会の参加。対象施設を選定するための調査旅費や会議費用。尺度使用や資料提供に伴う費用。質問紙調査用紙の配布伴う印刷・通信費等。
|