2012 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者の維持期・終末期リハビリテーションにおけるフットケア・プログラムの開発
Project/Area Number |
23660042
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
池田 清子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60224755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒沢 佳代子 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (60612273)
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Keywords | フットケア / 脳卒中 / 維持期 / 介入 / マッサージ / 皮膚の保湿 |
Research Abstract |
本研究は脳血管疾患の維持期・終末期リハビリテーションにある患者の足部・下肢病変の実態にそったフットケア・プログラムを開発することが目的である。昨年度の実態調査では、対象の約80%に下肢静脈瘤、約90%に皮膚の乾燥・粗迄があることかわかった。そこで本年度はこれらの症状の改善を目的に、独自に作成した下肢のリンパドレナージと足部のマッサージ、市販の保湿ローション塗布の複合的介入を1日1回、6週間実施した効果を明らかにすることを目的とした。本介入は研修者が所属する大学の倫理委員会の承認を得た計画書に基づき実施した。【方法】対象は老人保健施設の入所者5名、介入期間は平成25年3月4日~4月12日。介入前に5名の介入実施者を対象に60分の研修会を行った。【結果】対象5名のうち女性が4名、平均年齢88.4歳(±5.1)、脳卒中の罹病期間は1~10年、障害では片側の完全麻痺と不全麻痺3名、麻痺なし2名であった。介入前の下肢・足部の状態では、全員に静脈うっ滞と冷感、皮膚の乾燥があった。関節可動域は他動で測定し、足関節の背屈・底屈、内転・外転は正常値の半分から3分の2程度であった。主観的評価では全員が下肢・足部の倦怠感やだるさ、痒みを感じていなかった。介入の効果では、6か所の周囲計のうち5か所で改善(平均値で0.04~0.62㎜)、関節可動域では全ての観察部位で改善(平均値で0.6~10度)した。【考察】今回、マッサージによる循環の改善に加え関節可動域の改善もみられたことから、対象の下肢機能を維持するために下肢リンパドレナージとマッサージの必要性が示唆された。しかし改善の程度は個人差が大きい事から、今後は対象数を増やし効果を検証する必要がある。同時に1日1回のローション塗布の重要性も確認された。最後に本介入プログラムは、実施負担も少なく日常ケアでの継続が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3段階の計画で進めており、本年度は2年目にあたる。当初の計画では、暫定的なプログラムの開発が目標であり、ほぼ達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで維持期にある患者に対する介入は実施できたが、終末期にある患者と家族を対象にすることが課題である。従って、今年度は訪問看護ステーションもしくは看取りケアを積極的に行っている施設を開拓したいと考える。フットケアに必要な物品として、保湿ローション、マッサージクリームなどの消耗品に加え、爪や角質ケアの物品は感染予防の点から個人使用の予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度からの繰り越し金は、今年度は訪問看護師と同行し、技術指導にあたる研究協力者(奈良在住)の交通費(10,000円)と技術指導料(10,000円)、フットケアの物品(9000円)として使用する予定である。技術指導は研究対象となる家族へのマッサージや爪やすりの使用方法などのフットケアの技術指導は2~3回を予定している。
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