2013 Fiscal Year Annual Research Report
胎児異常を告知された妊婦の情動と胎児感情ー告知後から産後1か月までの縦断調査ー
Project/Area Number |
23660065
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 満由美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90285445)
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Keywords | 看護学 / 胎児異常 / 対児感情 |
Research Abstract |
胎児異常を告知された妊婦の情動と児への愛着に注目し、胎児異常の告知後から産後1カ月までの妊婦の情動と対児感情の関連を明らかにすることを目的に研究を行った。 胎児異常の告知後から産後1カ月までの妊婦の心理的変化のプロセスを明らかにすることができた。【方法】胎児異常の告知を受けた妊婦を対象に、告知後から産後1カ月までに4回縦断的に面接を実施した。13名を分析対象とし半構成的面接を行い、分析は修正版グランデッド・セオリー・アプローチを用いた。【結果および考察】「心理状態のプロセス」について分析した結果、9のカテゴリーと30の概念が抽出された。 妊婦は胎児異常の診断を受け、≪衝撃≫をうけ、≪抑うつ≫≪不安≫に襲われるが、【仕方ない】【まだまし】【意味付け】等を行い≪自分を納得≫させ、≪覚悟をする≫。経過中は≪不安≫を抱きながらも先の見通しや予測ができることで≪不安≫が軽減し、それなりに心理的に安定する。出産後は≪喜びと安堵≫がまず起こり、≪不安≫を抱えながらも、生まれたことの【意味付け】を行ったり、悪い事例と比較し≪自分を納得させる≫。妊娠中に抱いていた予測より結果が良い場合は【気持ちが楽になる】。悪い場合は【動揺】する。出産後は妊娠中に比べ、児に対する思いが多く出現する。その後、児に対する≪望み≫を抱きながら、≪責任の重さ≫を自覚し、【吹っ切れ】て、≪適応・再起≫することが明らかになった。 胎児異常の告知後から産後1カ月までの妊婦の対児感情について変化を明らかにすることができた。【方法】面接時に対児感情評定尺度を用いて実施した。13名を分析対象とした。結果、接近得点は妊娠期に比べ産褥期に有意に上昇していた。回避得点は妊娠期、産褥期とほとんど動いていない。胎児異常を告知されても他の人と同様に分娩を機に児を肯定して受け入れようとする感情の接近感情が高まることが明らかになった。
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