2012 Fiscal Year Research-status Report
母乳育児の継続に必要なサポート尺度ーカップルバージョンの開発ー
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23660085
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
森脇 智秋 徳島文理大学, 保健福祉学部, 准教授 (90515628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 千惠美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40161335)
岸田 佐智 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60195229)
川田 美由紀 徳島文理大学, 保健福祉学部, 講師 (10518070)
古川 薫 徳島文理大学, 保健福祉学部, 助教 (10448334)
古本 奈奈代 徳島文理大学, 人間生活学部, 教授 (90238692)
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Keywords | 母乳育児 / 夫のサポート |
Research Abstract |
母乳育児を継続するために、身近な育児支援者の夫のサポートが必要と考えた。本研究は、その評価指標として母乳育児を支援するために必要なサポートを、提供側である夫と受容側である妻の両面から測定する客観的な尺度“カップルバージョン”を開発することである。夫の提供側の尺度開発として文献検討の結果、夫のサポートは母乳育児の促進に重要な要因であり母乳育児の継続に夫の関わりは必要であることが明確になったが、どのような夫のサポートが必要であるかは具体的に明確になっていなかった。 今年度は、母乳育児をしている女性の夫のサポートを具体化するために、まず文献検討より「サポート」を各分野の領域はどのように捉えているか、「サポート」の概念分析を行った。次に母乳育児をしている女性の夫のサポートが具体化していない現状から、母乳育児をしている女性の夫9名から半構成的面接でインタビュー調査を行った。質的データを助産・母性・小児領域の助産師や看護師のスーパーバイズを受けながら、内容分析を行った。現在、3つの局面から9つのカテゴリーが抽出している。研究者は以前に妻の提供側から母乳育児に必要な夫のサポートとして11のカテゴリーを抽出している。これらの夫が提供する母乳育児に必要なサポート内容と妻の認識する母乳育児に必要な夫のサポート内容を照らし、カップルバージョンの項目を現在精錬している。 また、産後1か月の混合栄養の女性は夫のサポートがあれば、産後3か月母乳栄養に移行するかどうかを検証した。その結果、産後1か月時に混合栄養であっても夫のソーシャルサポートの情緒的サポートが多くと夫が「外出する時ひとりで赤ちゃんを見てくれる」ことができれば産後3か月時に母乳栄養に移行する可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は予備調査まで行う予定であったが、母乳育児をしている夫のインタビュー対象者の仕事の関係上予定通りにインタビューできず、インタビューの内容分析が遅れ質問紙作成も遅れた。今年度の成果は3点である。 1.サポートの概念分析・・「サポート」とは支えであり、支えは目的・課題を達成するために独立の欲求から起こる。その目的・課題を達成するための第1段階として「その人らしさを表現し、その人の潜在能力を引き出す」サポーターが存在し、見守り、環境を整え、共に行動することがサポートである。 2.母乳育児をする女性の夫の内容分析・・サポート内容のコードは429抽出され、そのコードの抽象化を行った結果、3つの局面に分類された。①「母乳育児のための共同作業」の局面では、「当然のように家事をする」「ひとりで子どもの世話をする」「出来る限り一緒に子育てする」3つのカテゴリーと7つのサブカテゴリーが抽出された。②「母乳育児できる環境調整」の局面では、「母乳に専念できるように環境を整える」「母乳育児ができるよう妻の心身を労わる」「自分が母乳に対する想いを持っている」の3つのカテゴリーと12のサブカテゴリーが抽出された。③「母乳育児する妻との良好な人間関係」の局面では、「妻の気持ちに寄り添う」「妻を尊重し認める」「夫婦関係を大切にしている」の3つのカテゴリーと9のサブカテゴリーが現在のところ抽出されている。 3.産後1か月時混合乳であった女性が産後3か月時母乳へ移行した女性(以下母乳へ移行群)と産後3か月時人工乳へ移行した女性(以下人工乳移行群)の夫のソーシャルサポート量と夫の子育て状況を比較した。産後3か月時のソーシャルサポート量の「情緒的サポート」(p<0.05)と夫の子育て状況の「外出する時ひとりで赤ちゃんを見てくれる」(p<0.05)に母乳移行群が高かった。
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Strategy for Future Research Activity |
母乳育児をしている女性の夫の質的調査から、夫が提供するサポート内容を具体化した9つのカテゴリーと妻が受容するサポート内容の11のカテゴリーを照らし合わせ、夫婦同じ尺度にするか共通部分と相違部分に区別し作成するか検討を重ね、カップルバージョンの尺度の方向性を検討する。次に母乳育児の継続に必要な夫のサポートのカップルバージョンの項目を精錬し、助産学領域の研究者、母乳育児を支援している助産師、母乳育児をしている夫婦などで構成される専門家会議を行い適切な質問紙調査を作成する。その後、30名程度の産後1か月の母乳育児をしている女性と夫に予備調査を行い内容的妥当性の検討・修正をおこなう。 予備調査実施後項目分析・因子分析により質問紙調査の項目を選定し、母乳育児の継続に必要なサポート・カップルバージョン尺度の原案を作成する。作成されたサポート・カップルバージョン尺度を300名対象に信頼性・妥当性の検証をおこなう。信頼性の検証として内的整合性をクロンバックα信頼性係数で、妥当性の検証として、すでに検証されているソーシャルサポート尺度、夫婦関係満足度尺度にて検証する。 また、尺度開発の過程の論文を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
量的調査を行うために、調査現場までの旅費や調査に必要な物品(プリンター・USBメモリー・封筒・切手・用紙等)、調査結果を分析するためにデータ・資料整理のためにアルバイト、資料や参考図書の購入、文献の取り寄せ、調査結果を論文投稿費用、英語論文作成費用、研究結果を国内外で発表するために共同研究者3人の旅費を予定している。
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Research Products
(1 results)