2011 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホームの看取り介護における看護師の体験
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23660118
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
小林 尚司 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (90321033)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 特別養護老人ホーム / 看取り介護 |
Research Abstract |
本研究は、看取り介護を行っている特別養護老人ホームで働く看護師に面接調査を行い、入所者の看取りをどのように実施しているのか、また看取りをどのように体験しているのか、その構造の一端を明らかにすべく、探索的にモデルを生成することを目的としている。平成23年度は、特別養護老人ホームを含む介護保険施設における看取りに関する文献検討を行い、高齢者本人の終末期の過ごし方の願いがあまり引き出されていないことと、それによって看護・介護職員は看取り介護の方向性が見出しにくいことや、倫理的な懸念を感じていることを明らかになった。そこで、聞き取り調査では、看取りの実践のなかで高齢者本人の終末期の過ごし方の願いをどのようにくみとっているかを含めて尋ねることとした。対象の選定は、地方の中核都市であるA県B市内の全特別養護老人ホームの施設長に、看取りの実施状況を確認し、看取りを行っていると回答した施設の看護リーダー全てを対象とした。B市にある特別養護老人ホーム14施設のうち、看取りを行っていると回答したのは7施設であった。そのうち2施設は同じ法人であった。そこで、6名の看護リーダーがインタビューの対象となった。さらに、対象となった施設から、A県内で先進的な取り組みをしている施設2カ所の紹介を得て、計8施設でインタビュー調査を行った。限定された地域ではあるが、特別養護老人ホームの看取りの対応の実態と看取り介護の実施の内容について、詳細に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査と分析をおおよそ終えることができた。これまでの経過からは、特定の地域ではあるが、特別養護老人ホームの看取りの実施状況と課題が明らかになった。インタビューの対象者数が当初の計画よりも少なくなったが、文献検討の結果得られた知見をあわせることで、目的はある程度達成できているのではないかと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、学会報告などを通じてさらに分析を進め、看取りのモデル化を行う。また、これまでの経過からは、特定の地域ではあるが、特別養護老人ホームの看取りの実施状況と課題が明らかになった。なかでも、高齢者本人のend-of-lifeの過ごし方の願いをくみとるための意識的な働きかけは、ほとんど行われていなかった。行わない理由に、くみとる方法がわからない、くみとる意義がわからない、尋ねることで高齢者を混乱さるのではないかという不安、高齢者に対して死を話題にしてはいけないという先入観があった。今後、高齢者のend-of-lifeの過ごし方の願いくみとるための方策についての研修を考案し、試行、評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表:日本老年社会科学学会。専門会の助言を得るための研究会への参加。考案した研修の実施。研修の効果測定のための質問紙調査の実施。研究報告書の作成。
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Research Products
(1 results)