2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様なバイオポリエステルを合成する資源循環型フレックス微生物工場の開発
Project/Area Number |
23681015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 謙一郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80360642)
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Keywords | バイオベースプラスチック / バイオマス / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
近年、二酸化炭素排出量の削減が大きな社会目標とされるなか、プラスチック産業においても、原料を石油からバイオマスへ変換することが模索されている。中でも、ポリ乳酸(PLA)は、デンプンを出発原料として乳酸発酵と化学重合を経て合成されるポリマーであり、高い透明性と優れた加工特性を持ち、現在最も利用が進んでいるバイオプラスチックである。しかしながらPLAは、[1]硬質性の材料であるため柔軟性が要求される用途には使用できないこと、さらに[2]デンプンの使用が食料生産と競合する、という大きく2つの問題があり、普及の妨げとなっている。 本研究課題では、バイオマスを原料として高付加価値のプラスチック材料を生産するために、多様な新規バイオポリマーを合成できるフレキシブル微生物工場を開発する事を目的とした。この目的を達成するため、新たに構築する微生物工場を用いて、柔軟性及び透明性に優れた新規乳酸ベース共重合体を合成した。また、限られたバイオマス資源を有効利用するために、リサイクルされた乳酸を原料とし、循環型のポリマー生産を行った。その結果、設計した代謝経路を導入した組換え大腸菌を用いて、培地中に乳酸を添加し、その乳酸をポリマーへと変換させることに成功した。さらに、本生合成系を利用して、これまで微生物合成が不可能であった多様な新規バイオポリマーを合成し、乳酸ポリマーを超えるバイオマテリアルを探索した。その結果、これまで報告例のなかったグリコール酸を構成成分として含むポリエステルの生合成に初めて成功した。これらの結果は、国際的な科学雑誌であるJournal of Biotechnology誌において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた乳酸を出発物質とした乳酸ポリマーの生合成、および新奇ポリエステルの合成に成功し、論文発表を行う事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえ、さらに新たなポリマー合成を行うと共に、スケールアップ生産を行い、ポリマーの物理的性質の解析を行う。
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