2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ陽子散乱断面積測定によるバリオン間力の斥力芯の起源の解明
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23684011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三輪 浩司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50443982)
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Keywords | ストレンジネス物理 / 光検出器開発 |
Research Abstract |
本研究ではJ-PARCK1.8ビームラインにて大強度πビームを用いて、約10000イベントのΣ陽子散乱事象を検出し、微分断面積を導出することによって、Σ陽子間の相互作用の斥力の強さを定量的に決定し、斥力の起源を探る事が目的である。このΣ陽子散乱実験の実験プロポーザルをJ-PARCに提出し、H23年度の7月の実験審査委員会に於いてJ-PARC E40実験としてstage-1の承認を受けることが出来た。更にstage-2の承認を受けるために、本研究に関連した検出器の開発を行っている。 我々は本研究を行うために二種類のファイバー検出器の開発を行っている。標的周囲に設置される散乱粒子を検出するための検出器(SFT)およびビームライン上に設置する検出器(BFT)である。そしてこれらのファイバー検出器の読み出し方法としてMPPC光検出器を用いた多チャンネル読み出しの開発を実現した。我々はEASIROCと呼ばれるMPPC多チャンネル読み出し用のASICを用いた読み出し回路のテストボードの製作に成功し、これを応用してこれらの検出器の読み出しに用いる。 BFTについては320チャンネルのMPPCからなる位置検出器を開発した。MPPCをコンパクトに配置した基板をデザインし、ファイバーとMPPCが一対一に接続するように工夫した。この検出器をRCNPの陽子ビームに照射して性能の評価を行った。ファイバー当たり1MHzという高いビーム強度でも、検出効率が95%以上であり、時間分解能として1nsを切る値を得る事が出来た。これはH24年度の早い時期に実際にK1.8ビームラインに設置する予定である。 SFTに関しても同じ読み出し方法を用いる事が出来るため、こちらはファイバーを配置する方法に関してR&Dを行っている。ファイバーのサイズとMPPCのピクセル数は最小電離粒子に対して十分な光量が得られるように選定を行った。SFTに関してはR&Dの途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するための実験計画がJ-PARCの実験審議委員会で認められたのは大きな進展であった。またMPPCの多チャンネル読み出し回路を実際に作る上げる事が出来たため、様々なファイバー検出器の読み出しとして用いる事が出来るようになった。BFTに関しては、すでに実機を製作でき、今後量産する事が可能となった。SFTに関しては、まだR&Dが必要であり、今後も更に重点を置いて開発する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
BFTに関しては、K1.8ビームラインにインストールするので、今後のビームタイムで本研究に必要な高強度ビームのハンドリングが可能になるかどうかを調べる必要がある。散乱粒子検出器に関してはSFTおよびカロリメーターを作り上げて、東北大のサイクロトロンの陽子ビームを用いて性能の評価を行う。そのために現在R&D中のSFTのプロトタイプを作り上げ、MPPCによる読み出しを完成させる必要がある。
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Research Products
(7 results)