2011 Fiscal Year Annual Research Report
アザメタラサイクルの創製を基盤とする含窒素へテロ環化合物の合成
Project/Area Number |
23685019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 智也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10378804)
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Keywords | アザメタラサイクル / ヘテロ環合成 / ニッケル / ロジウム / 不斉反応 |
Research Abstract |
ウラシルはピリミジン塩基の一つであり、生物に偏在する核酸の構成要素である。またその誘導体は抗癌作用や抗HIV作用など様々な薬理活性作用を持ち、創薬研究において有用な化合物である。そのため入手容易な原料を用い、簡便にウラシル誘導体を合成する手法の開発は、重要な研究課題である。我々は既に、ニッケル触媒の存在下でアレンにイソシアナートを作用させると、アレン1分子とイソシアナート2分子とのエナンチオ選択的分子間[2+2+2]付加環化反応が進行し、エキソメチレン部位を持つジヒドロウラシル誘導体が得られることを見出している。 今回、ニッケル触媒の存在下で1,3-ジエンにイソシアナートを作用させたところ、アレンを用いた場合と同様に1,3-ジエン1分子とイソシアナート2分子との分子間[2+2+2]付加環化反応が進行し、ジヒドロウラシル誘導体が収率よく得られることを見出した。本反応は、1,3-ジエンとイソシアナートとの分子間[2+2+2]付加環化反応が進行した初めての例である。 Ni(cod)_2錯体と(R)-dtbm-Segphosから調製したニッケル触媒の存在下で,1-フェニル・1,3-ブタジエンと5当量の4-トリルイソシアナートをアセトニトリル溶液中100℃で16時間加熱撹拌したところ、ジヒドロウラシル誘導体が収率83%、43%の鏡像体過剰率で得られた。そこで鏡像体過剰率の向上を目指し反応条件の検討を行ったが、収率を維持したまま鏡像体過剰率を上げられなかった。そのため不斉化を見送り、1,3-ジエンとアリールイソシアナートとの分子間[2+2+2]付加環化反応における基質適応範囲を調べた。その結果,様々な置換基をもつ基質でも、付加環化反応が収率よく進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあるように、イソシアナートを窒素源とする完全分子間[2+2+2]付加環化反応を、1,3-ジエンを基質に用いて実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、以下の三つの柱からなる研究課題を中心にする推進する。(1)イソシアナートを窒素源とする完全分子間不斉[2+2+2]付加環化反応(2)トリアゾールの脱窒素過程を経る[5-2+2]型付加環化反応(ポストクリックケミストリー)(3)不活性結合活性化を経るアザメタラサイクルの創製と高選択的環化反応。前年度の研究で、(1)の研究課題についてある程度達成できたので、今後は(2)や(3)の研究課題を取り組む予定である。
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