2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ベシクルを用いた人工オルガネラの創製と細胞内配置技術の開発
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23685037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸村 顕広 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70422326)
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Keywords | ポリイオンコンプレックス / ブロック共重合体 / ベシクル / 人工オルガネラ / ドラッグデリバリーシステム / 自己組織化 / ナノリアクター / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では、Nano-PICsome(直径100-400nmでサイズ可変な生体適合性高分子ベシクル)の技術を発展させ、細胞内で作動するナノリアクター、即ち、人工オルガネラの創出を目指す。また、細胞内動態を考慮に入れた上でナノリアクターを細胞内へ適切に配置する技術を開発する。23年度は、下記の1.-3.を実施した。 1.Nano-PICsome型ナノリアクターの作製と活性の確認:穏和な条件で汎用性の高いタンパク質や酵素の封入手法を開発し、β-ガラクトシダーゼをはじめとする種々の酵素を封入した。-COOHと-NH2の縮合剤であるEDCを用いてPIC膜の架橋安定化し、限外ろ過などにより精製を行った後に、反応後に発光を示す基質を作用させたところ、酵素活性の維持が確認できた。これらナノリアクターは、生理条件でも失活しなかった。 2.ナノリアクターの物質透過性制御:物質透過性の詳細な制御法確立に向け、主にIRを用いて、架橋率の算出し、EDC添加量と架橋率が一対一対応することが明らかとなった。架橋後のPIC膜内に残った未反応アミノ基をTNBS法により定量し、残存アミノ基を定量した。続いて、この残存アミノ基に化学修飾を施す手法を開発した。さらに、細胞内の環境変化として、pHに応答する修飾試薬の設計も行った。これらを基盤に、物質透過性評価を開始した。 3.諸物性を制御したNano-PICsomeに対する細胞の応答評価、細胞内動態の検証: 人工オルガネラとしての評価の前に、Nano-PICsome自身に対して細胞が示す応答の評価を行った。直径100,200nmで架橋率を変えたNano-PICsomeについて、蛍光標識を施し、共焦点レーザー顕微鏡による細胞内動態観察と、フローサイトメトリー、あるいはインセルアナライザーを用いた定量を行ったところ、架橋率が低いPICsomeが有意に細胞内に取り込まれていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実施計画に上げた項目について、上述した通り十分な進捗が見られ、24年度に予定している発展的内容に取り組む準備ができたと考えられる。一部の24年度以降の内容については、先取りして取り組みを開始することができており、当初計画以上に進展していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
特に計画を変更することなく、次年度以降も実施する予定である。
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