2012 Fiscal Year Annual Research Report
高品質酸化物ナノ粒子製造のための核発生と成長過程の厳密評価用マイクロデバイス開発
Project/Area Number |
23686113
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
陶 究 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (60333845)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロミキサ / マイクロ流体デバイス / 酸化物 / ナノ粒子 / 核発生 / 成長 / 連続製造 / 高圧高温水 |
Research Abstract |
マイクロ流路を用いた連続式水熱法において、粒径分布が狭く平均粒径を制御した高品質な酸化物ナノ粒子を製造するためには、流路内壁面での不均質核発生/成長による粒径分布の拡大・多峰化、副生成物の生成等の回避が不可欠である。本研究ではこの課題を解決可能な構造のマイクロデバイスを開発し、各種条件でナノ粒子合成を行い有用性を実証するとともに、平衡論・速度論の両面から核発生/成長機構を解析し、所望の粒子特性を有するナノ粒子の設計指針を明らかにすることを目的としている。 今年度は、前年度に開発したマイクロデバイスを用いて、水熱反応速度の異なる酸化物(Fe2O3やZnOなど)を対象に研究を実施した。特に滞在時間と粒径と分布の関係について検討した。その結果、デバイスの有用性は実証できた。一方で、水熱反応速度の遅い酸化物(たとえばZnO)では混合を改善しても分布の狭い粒子は得られなかった。この結果の解析により、酸化物種によらず均質なナノ粒子を得るためには数百ミリ秒オーダー以下の滞在時間での混合の完結に加えて『高過飽和比の付与、つまり瞬時に原料金属塩の全てを核発生させ結晶成長過程を経ない粒子生成条件の設定』が不可欠であることが明らかとなった。これは、加熱水と原料金属塩溶液との混合部だけでなく、過飽和比制御のために用いるアルカリ水溶液(NaOHなど)との混合部の構造最適化も重要であることを示している。よって、次年度開発するマイクロデバイスは、この部分の混合促進のために積極的に旋回流構造を導入した構造とする。また、これらの結果は、粒径と分布を制御したナノ粒子合成おいて、核発生と成長を進行させる部分を装置内で明確に分割して原料を多段供給する方法の必要性を示しており、継続的な検討事項である。なお、DLSを用いたナノ粒子の粒径評価法や電極を用いたIn-situ濃度測定法についても検討し一定の指針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の結果、高品質酸化物ナノ粒子の連続製造において、当初想定していた装置構成ではなく原料の多段供給が必要であることが分かった。しかし、必要な装置改良は予算の範囲内で可能であり、目的である「高品質酸化物ナノ粒子製造のための核発生と成長過程の厳密評価用マイクロデバイス開発」や「所望の粒子特性を有するナノ粒子設計指針の明確化」の達成には支障はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度に装置改良が必要となったが予算の範囲で対応可能と考えている。ただし、装置改良にともない検討すべき箇所が増えるため、当初の目的を期間内に達成できるよう、研究協力者を増やすなどの対策を早急に進めたい。
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Research Products
(5 results)