2011 Fiscal Year Annual Research Report
接合抵抗発生メカニズム定量化による分割型高温超伝導マグネットの電磁力接合構造設計
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23686132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 悟 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60422078)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 超伝導材料・素子 |
Research Abstract |
商用核融合炉を目指した設計案として機械的接合法を利用した分割型高温超伝導マグネットが提案されている。本研究では、高温超伝導導体の機械的接合法における抵抗発生メカニズムを基礎実験および数値解析によって定量的に分析し、機械的接合の接合構造・接合力負荷法を最適化することで、核融合炉環境下でも低抵抗・再着脱可能な機械的接合が可能であることを実証することを目的とする。さらに電磁力、熱ひずみ等を考慮した構造解析を実施し、分割型高温超伝導マグネットの最適構造設計案を提示する。 (1)機械的接合法の抵抗発生メカニズムの定量化:接合抵抗の主要因は、1)接合部付近の臨界電流の低下、2)接触抵抗である。1)の影響を調べるために、接合力として負荷する高温超伝導テープ厚さ方向圧縮力による各種ひずみが臨界電流に与える影響を実験的に評価し、REBCO系超伝導テープでは、400MPa程度のテープ厚さ方向の横圧縮ひずみによる臨界電流低下が見られないことを確認した。 (2)高温超伝導導体の機械的接合法:導体の接合方法としては、本年度初頭に新たに機械的エッジジョィントを提案し、数値解析によって、他の機械的接合法に比べて、大型導体にした場合に抵抗を低減できることを示した。さらに機械的ラップジョイント(機械的ブリッジジョイント)の試験を実施し、積層数の増加にともなう接合抵抗の上昇の問題を確認した。 (3)電磁力・接触解析(最適接合構造設計):FFHRのヘリカルコイルを円形コイルとして2次元でモデル化して、フープ力に対して接合部の脱離の防止が可能か構造解析を用いて検討した。機械的バットジョィントを用いた場合、必要となる周方向接合応力は200MPaと見積もられたが、これだけの外力を得ることは難しいため、今後は他の接合方式も考慮に入れた接合部構造の最適化により、現実的な設計案の検討をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はREBCO導体内のひずみの影響を数値解析によって評価する予定であったが、実験により接合力によって臨界電流低下が起こらないことが確認できたため、計画を変更した。その他の内容についてはおおむね予定通りに実施できた。来年度以降に行う予定である交流試験用の施設については、電源、計測器関係を今年度、整備し、来年度に試験を実施することができる体制にある。
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Strategy for Future Research Activity |
まずREBCOテープの接合抵抗の温度・磁場依存性を取得し、分割型高温超伝導マグネットの運転温度の検討に必要なデータベースを構築する。ここで接合抵抗のうちの接触抵抗の寄与分を、接触理論にもとづいて評価し、接合抵抗発生メカニズム定量化を目指す。また2kA級のREBCO導体を製作し、機械的ラップジョイント(機械的ブリッジジョイント)、機械的エッジジョイントの直流・交流試験を行う。実験結果の詳細分析については、有限要素法を用いた電磁場解析を援用する。さらに各接合方式を考慮に入れた接合部構造の最適化を構造解析を用いて行い、現実的な設計案の検討をしていく予定である。
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Research Products
(6 results)