Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質分子は、時々刻々とその形を変化させることで、様々な生理機能を担う。したがって、その本質的な理解には、"時間"・"空間"領域での理解が重要となる。本研究では、光受容体であるレチナールタンパク質による情報伝達を、ピコ秒"時間"分解能、および原子レベルの"空間"分解能で理解することを目的とした。
【時間:30桁】ペタ秒(10の15乗秒):分子進化機構の解析 [J. Biol. Chem., 2011a, 2011b, 2013a]。秒:新規機能・中間体の同定 [J. Biol. Chem., 2012, J. Phys. Chem. B, 2011]。ミリ秒:水素結合の組み換え [Biochemistry, 2012]。マイクロ~ナノ秒:二次構造変化 [J. Phys. Chem., B, 2013] 。ピコ秒:芳香族アミノ酸の変化 [Biochemistry, 2011a]。フェムト秒(10の-15乗秒):発色団の電子状態変化 [J. Phys. Chem. B, 2014a]。 【空間:8桁】センチメートル(10の-2乗メートル):線形動物の光による神経抑制に成功 [PLoS ONE, 2012, J. Biol. Chem., 2013a]。マイクロメートル:改変タンパク質により、微生物の運動の光制御に成功 [J. Biol. Chem., 2011a]。サブナノメートル(10の-10乗メートル):発色団構造を決定 [Biophys. J., 2011, J. Phys. Chem. B., 2012, Angew. Chem. Int. Ed., 2014]。結合の速度論的解析に成功 [Chem. Phys., 2013]。三量体-->単量体への構造転移を発見 [J. Phys. Chem., 2014b]。水素結合変化を同定 [Biochemistry, 2011b, 2012]。高分解能構造決定 [論文準備中]。
上記の精密解析は、19報の原著論文(14報の筆頭/責任著者論文を含む)に結び付くとともに、新しい光開閉型イオンチャネルの創成 [J. Am. Chem. Soc., 2015]につながった。このように、当初の想定を越える分解能で光応答の詳細を理解することができたと総括している。
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