2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規薬効標的分子の探索を目指した尿酸の全身動態モデルの構築
Project/Area Number |
23689008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90376468)
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Keywords | 薬理学 / 生理学 / ゲノム / トランスレーショナルリサーチ / トランスポーター |
Research Abstract |
近年のゲノム研究の進展を契機として多くの血清尿酸値の個人差規定因子が見出されたが、その尿酸動態制御機構については、腎臓での尿酸再吸収を担うurate transporter 1(URATI/SLC22A12)、glucose transporter 9(GLUT9/SLC2A9)に関して示されたのみであり、痛風の主要な病因遺伝子である尿酸排出ポンプbreast cancer resistance protein(BCRP)/ATP-binding cassette transporter G2(ABCG2)を含む多くの因子の尿酸動態における役割は未解明のままである。本研究は、ヒト尿酸代謝モデルマウスを用いてBCRP/ABCG2機能低下による血清尿酸値上昇の機序解明を行うとともに、ゲノムワイド関連解析やマイクロアレイ解析などで見出される尿酸トランスポーター候補分子の生理機能を明らかにし、尿酸の全身動態モデルを構築すること、および、構築されたモデルを用いて新規尿酸動態制御薬の薬効標的分子を探索することを目的としている。 研究開始年度にあたる本年度(平成23年度)には、ヒト尿酸代謝を模倣した動物モデルを作製し、BCRP/ABCG2ノックアウトマウスにおける尿酸排泄に関する検討を行った。 ヒトは多くの哺乳類が持つ尿酸代謝酵素ウリカーゼを欠損しているため、尿酸動態に関しては実験動物の結果をそのままヒトに外挿することはできない。そこで、本研究においては、ウリカーゼ阻害剤であるオキソン酸の連日投与によりケミカルノックアウトを行い、実験に用いた。野生型マウスとBCRP/ABCG2ノックアウトマウスにオキソン酸投与を行い、血清中尿酸濃度を比較したところ、ヒトと同様、BCRP/ABCG2機能低下に伴う血清尿酸値の上昇が観察された。しかしながら、BCRP/ABCG2ノックアウトマウスにおける尿中への尿酸排泄能の低下は見出されなかった。このことは、BCRP/ABCG2による生理的な尿酸排泄が腎臓以外の臓器で行われていることを示唆しており、現在詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始年度にあたる本年度(平成23年度)の目標としていたヒト尿酸代謝モデルマウスの構築に成功し、BCRP/ABCG2機能低下による血清尿酸値上昇の機序解明に向けて一定の成果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年度目となる来年度(平成24年度)には、一年度目に構築されたヒト尿酸代謝モデルマウスを用いて、BCRP/ABCG2機能低下による血清尿酸値の機序の詳細な解明を行うとともに、他の血清尿酸値制御因子群の尿酸動態における生理的役割の解明を目指した検討を進める。
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