2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23689030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河合 太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (50456935)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自然免疫 / シグナル伝達 / インターフェロン / ウイルス感染 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
ウイルスや細菌といった病原体や自己DNAに対する自然免疫認識機構を理解するため、本年度は主にDNA認識センサーの単離を試みた。まず、DNA認識センサーを介するシグナル伝達経路に位置する分子として同定したTRIM56や既にDNAセンサーのシグナル伝達分子として知られているSTINGやTBK1をベイトとし酵母ツーハイブリッドスクリーニングや免疫沈降法を行った。また、DNA認識センサーを介するシグナル伝達経路を活性化すると考えられる抗がん剤DMXAAに結合する蛋白質を単離することを目的として、ナノ磁性粒子に固定化したDMXAAを用いて結合蛋白質の分離を培養細胞株より行った。質量分析によりDMXAA結合蛋白質の解析を行った結果、ストレス顆粒と呼ばれる細胞内構造体の構成蛋白質の一つを得ることができた。現在、DNA刺激に対する機能をノックダウン法を用いて解析中である。また、DNA修復に関わるMre11とRad50の複合体の一部がDNA刺激に伴い核内から細胞質へと移行し、DNAと共局在することを見出した。さらに、Mre11にDNAとの結合活性が認められた。興味深いことに、これら両分子に変異を認めるヒト細胞株においては、DNAに対するインターフェロン応答が減弱していることが分かった。このこtからMre11とRad50複合体はDNAに対する自然免疫応答において主要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵母ツーハイブリッド法、免疫沈降法、DMXAA結合蛋白質精製など当初の計画通りDNAセンサー同定を目指したスクリーニングを重ねている。その過程で得られた新たな蛋白質について自然免疫系における役割の解析も開始した。また、これとは別にDNA修復関連分子Mre11とRad50がDNAに対する自然免疫応答に関与する可能性を示唆できた。
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Strategy for Future Research Activity |
後も当初の計画通り研究を推進していく。これまで行ってきたスクリーニングで得られた候補分子に関してノックアウトマウスの作製を行い、生体内での役割の解析も行う。また、ストレス顆粒に存在する分子群がDMXAAに対する自然免疫応答に関わる可能性や、インターフェロンや炎症性サイトカイン産生に関わる可能性を見出したことから、ストレス顆粒に局在する個々の蛋白質の自然免疫系における役割の解析も視野に入れて解析を行う。いくつかの蛋白質についてノックアウトマウスの作製が完了しており、自然免疫系の解析を開始する。また、Mre11とRad50を欠損するマウスの作製にも取りかかり、DNAに対する応答(DNAウイルスに対するインターフェロン応答や、DNAワクチンに対する効果)に影響があるか解析を行う。
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Research Products
(10 results)