2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーによる癌予防標的分子の網羅的同定と癌のテーラーメイド予防
Project/Area Number |
23689036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
飯泉 陽介 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20533178)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 結合蛋白 / 食品成分 / ナノ磁性ビーズ / 質量分析計 |
Research Abstract |
本研究は、癌予防効果が見出されている食品成分について、食品成分が直接作用する蛋白(標的分子)をケミカルバイオロジーを用いて網羅的に同定し、癌予防効果の詳細な分子機構を明らかにしつつ、新規癌予防法の考案に役立つ新規細胞内分子機構も明らかにすることを目標としている。平成23年度では、代表的な食品成分である、赤ワインに含まれているレスベラトロール、ウコンに含まれているクルクミン、海草類に含まれているフコキサンチン、緑茶に含まれているカテキンのエピガロカテキンガレートの細胞内の標的蛋白を探索し、同定していった。始めに、種々の癌細胞株にこれらの食品成分を添加し、癌細胞の増殖への影響を検討した。そして、大腸癌細胞株HT-29に対して、レスベラトロールとフコキサンチンが増殖抑制効果を発揮し、前立腺癌細胞株PC-3に対して、レスベラトロール、クルクミン、エピガロカテキンガレートが増殖抑制効果を発揮することがわかった。次に、HT-29細胞およびPC-3細胞の細胞抽出液を作製し、またこれら食品成分を共有結合により固定化したナノ磁性ビーズを作製し、食品成分結合蛋白を探索した。そして、それら食品成分に結合する癌細胞内の蛋白として、それぞれ複数個の蛋白を発見した。さらに、レスベラトロールおよびフコキサンチンの結合蛋白に関しては、質量分析計を用いて同定することに成功しており、現在RNAi法を用いて、これらの結合蛋白と癌細胞の増殖との関係を調べている。クルクミンとエピガロカテキンガレートの結合蛋白に関しては、現在質量分析計での同定に取り組んでいる。 本研究により、代表的な食品成分に直接結合する癌細胞内の蛋白が見出された。これら結合蛋白の更なる機能解析により、食品成分による癌予防効果の詳細な分子機構が明らかになり、より良い癌予防法の創出の手がかりとなると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、4種の食品成分による癌の増殖抑制を確認し、それら食品成分の結合蛋白を見出すことに成功しており、さらに2種の食品成分に関しては、結合蛋白を質量分析計により同定することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
レスベラトロールとフコキサンチンに関しては、それらの結合蛋白をRNAi法により、癌細胞内において発現抑制し、結合蛋白と癌の増殖との関連を調べていく。クルクミンとエピガロカテキンガレートの結合蛋白に関しては、質量分析計を用いた同定に着手し、同定出来次第、RNAi法による機能解析に進んでいく。
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Research Products
(1 results)