2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーによる癌予防標的分子の網羅的同定と癌のテーラーメイド予防
Project/Area Number |
23689036
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
飯泉 陽介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20533178)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ケミカルバイオロジー / 結合蛋白 / 食品成分 / ナノ磁性ビーズ / 細胞周期 / 細胞死 / 質量分析 / 新規メカニズム |
Research Abstract |
平成24年度までに、代表的な食品成分である、赤ワインに含まれているレスベラトロール、ウコンに含まれているクルクミン、海草類に含まれているフコキサンチン、緑茶に含まれているカテキンのエピガロカテキンガレートのがん細胞内結合蛋白の同定に成功している。そして、フコキサンチンとレスベラトロールそれぞれに結合する主な蛋白FBP1(fucoxanthin-binding protein 1)とRBP1 (resveratrol-binding protein 1)に注力し機能解析を進めた。FBP1をsiRNAにより発現抑制すると、フコキサンチンの添加と同様に、大腸癌細胞において細胞周期制御蛋白が減少し、細胞周期停止が引き起こされた。さらに、FBP1の発現抑制により、フコキサンチンによる細胞周期停止効果が減弱することが確認された。また、RBP1をsiRNAにより発現抑制すると、レスベラトロールの添加と同様に、発がん促進経路が抑制され、前立腺癌細胞に細胞死が引き起こされた。さらに、RBP1の発現抑制により、レスベラトロールによる細胞死誘導効果が減弱することも確認できた。クルクミンに結合する主な蛋白CBP2(curcumin-binding protein 2)については、細胞死制御蛋白の転写後調節因子であることが報告されていた。 本研究により、代表的な食品成分の直接の結合蛋白が複数見出され、それらにはがん細胞において細胞周期促進や細胞死抵抗性に関わる蛋白が見出された。さらに、食品成分の作用機構における、それら結合蛋白の重要性も明らかになってきた。更なる機能解析により、食品成分を用いたより良いがん予防法の創出の手がかりになると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表的な4種類の食品成分について、それらの結合蛋白を同定し、フコキサンチン、レスベラトロール、クルクミンに関しては、結合蛋白それぞれのがん促進的に働く機能を見出している。また、これらの食品成分の作用における、結合蛋白の重要性も明らかにできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
フコキサンチン、レスベラトロールに関しては、FBP1及びRBP1の細胞周期、細胞死制御機構の全貌解明のために、免疫沈降法と質量分析計を用いてFBP1及びRBP1に相互作用する蛋白について解析したり、FBP1とRBP1の報告されている機能に対する影響やその機能と薬理作用との関係を調べていく。クルクミンに関しては、今回見出された細胞死を制御する結合蛋白に関して、クルクミンが阻害的に働くか否かを検証していく。
|
Research Products
(5 results)