2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23689052
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三宅 紀子 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40523494)
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Keywords | 分子遺伝学 / 人類遺伝学 / 先天奇形学 / 小児科 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝的要因が想定される希少な先天性疾患を対象に、次世代解析システムを駆使して疾患責任遺伝子を同定し、疾患発症メカニズムの解明と診断法・予防法・治療法を確立することを目的とする。本年度は、従来の遺伝学的解析(連鎖解析およびコピー数異常解析)とエキソーム解析を利用して、未報告のものも含めると11遺伝子の新規責任遺伝子同定に成功した。 最近報告した大きな成果として、稀な先天席奇形症候群の一つであるCoffin-Siris症候群の責任遺伝子の同定がある(Tsurusaki et al. 2012 Nature Genetics)。本症候群は、重度の精神発達遅延、成長障害、疎な頭髪および睫毛、特徴的な顔貌、指趾の爪の低~無形性を特徴とする。孤発例が多く、家系を用いた連鎖解析は不可能であり、従来型の解析では孤発例を複数集めて変異を同定することは不可能であった。しかし、今回用いたエキソーム解析では、全ゲノムのバリアントを一気に比較できるため、罹患者に共通する遺伝子変異を検索することが可能である。このアプローチを利用して、5症例のエキソーム解析から2症例において責任遺伝子の一つであるSMARCB1の同定に成功した。さらに、SMARCB1がクロマチンリモデリング因子であるSWI/SNF複合体の一構成因子であることに着目し、SWI/SNF複合体構成因子の15遺伝子のスクリーニングを行い、SMARCA2,SMARCA4,SMARCE1,ARID1A,ARID1Bが同症候群の責任遺伝子であることを発見し、この一連の解析により、CSS23症例中20症例(87%)に原因となる変異を同定することができた。この成果以外にも、2疾患で3遺伝子の同定に関して報告しており、更に他の2疾患の責任遺伝子を同定後さらなる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に、新規の責任遺伝子9遺伝子を報告しており、更に未発表の遺伝子も含めると合計11遺伝子の同定に成功している。さらに遺伝子が未同定である症例の集積、解析も順調に進んでおり、当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果から見て、既にエキソーム解析の解析フローは確立できたと言ってよい。しかしながら、現行の解析フローでは疾患遺伝子を同定できていない疾患もあり、それらに対応すべく更なる工夫が要求される。一つは、今までの解析方法で責任遺伝子の同定に至っていない理由として遺伝学的異質性が高い場合を想定し、更に同疾患の症例の収集に努める。また、ある程度の数の症例の解析が完了しているにも関わらず、責任遺伝子の同定に至っていない解析対象に関しては、エキソーム解析にとどまらず、全ゲノムシークエンス解析を行うなど、解析方法を検討する必要がある。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Mutations affecting components of the SWI/SNF complex cause Coffin-Siris syndrome2012
Author(s)
Tsurusaki Y, Okamoto N, Ohashi H, Kosho T, Imai Y, Hibi-Ko Y, Kaname T, Naritomi K, Kawame H, Wakui K, Fukushima Y, Homma T, Kato M, Hiraki Y, Yamagata T, Yano S, Mizuno S, Sakazume S, Ishii T, Nagai T, Shiina M, Ogata K, Ohta T, Niikawa N, Miyatake S
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Journal Title
Nat Genet
Volume: 44(4):376-378
DOI
Peer Reviewed
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