2012 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン免疫沈降シーケンス法と遺伝学的手法による骨形成性転写ネットワークの解明
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23689079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大庭 伸介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20466733)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 骨形成 / 転写ネットワーク |
Research Abstract |
骨芽細胞前駆細胞が骨芽細胞へと分化する一連の過程において、必須の分化調節因子であるWnt/b-catenin経路・Runx2・Osxとそれらの標的遺伝子により形成される転写ネットワークを解明し、上記の分子群が骨形成を制御するメカニズムを分子レベルから個体レベルに渡って明らかにすることにより、骨再生医療へと展開する基礎的知見を収集することが本研究の最終目標である。この目標を達成するために、クロマチン免疫沈降-シーケンス法(ChIP-seq)とマイクロアレイ、およびバイオインフォマティックスの手法を用いたデータ解析を行う。 1. Wnt/β-catenin 経路・Runx2・Osx 誘導性遺伝子の発現プロファイリング 野生型マウス頭蓋骨より得た骨芽細胞・前駆細胞からmRNA を回収し、全転写発現アレイシステム(Gene 1.0 ST array, Affymetrix)により発現プロファイリングを行った。3サンプルから得られたデータをCELファイルとして取得した。Rソフトウェア上にてRMAによる正規化処理ののち、Gene Expression Omnibusより取得したマウス胎児線維芽細胞のマイクロアレイデータのCELファイル(GSE23547)と比較して、骨芽細胞・前駆細胞で優位に発現している遺伝子をLIMMAにより同定した(P<0.05). 2. データ処理 前年度までに得られたβ-catenin・Runx2・OsxのChIP-seqデータをもとに、CisGenome上でピーク検出とピーク領域のモチーフ解析を行い、ピーク近傍遺伝子リストを取得した。このうち、1.において発現が認められた遺伝子を抽出するとともに、Genomic Regions Enrichment of Annotations Toolによりピーク近傍遺伝子のgene ontology termを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、現在までにChIP-seqとマイクロアレイによる発現プロファイリングの一次データの取得が完了し、これらのデータの統合的解析に着手している。データの統合的解析にはもう少々時間を要するものの、これと並行して25年度には仮説の検証実験に進むことができると予想されるため、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗は非常に良好であり、遂行上の問題点はない。25年度は、データの解析結果に基づいて立てられた仮説を検証していく。仮説の立証にあたっては、当初の計画通り、分子細胞生物学的手法を駆使して行う予定である。in vivoでの検証が必要な場合は、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスの利用についても柔軟に対応していきたいと考えている。
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