Project/Area Number |
23700125
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
光藤 雄一 北九州市立大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70404803)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光空間通信 / ユビキタスコンピューティング / タグシステム |
Research Abstract |
本研究は,光空間通信器の光学系の部分に注目し,従来に無い機能を実装しようとする試みである.当該年度は,通信環境を計算機上で再現し,1)意図した通りに動作しうるか,2)動作するとして,どの程度の性能を発揮しうるかを探ることを目標とした.計算機上で再現した理由は,通信システムのうち変復調,符号化,復号化の部分は様々な方法を試行錯誤する必要があるが,これをその都度実装によって試行していたのでは手間がかかりすぎるからである.当該年度はこれらの通信環境を計算機上で再現する作業を進めた.特に本研究が意図するような光空間通信環境を再現するソフトウェアは市販されていかったため,研究者がMATLAB/Simulinkをベースに構築を行った.構築した環境は,光空間通信を行う際の光学系のモデルと,通信器内のセンサ回路,変復調モデル(アナログ部分),および,符号復号化モデル(デジタル部分)である.当該年度12月初頭までに光学系モデルの構築をMATLAB上で行い,提案した光学系を用いる事で,この通信システムの使用が想定される状況内では充分と考えられる信号電力-ノイズ電力比を達成できることが分かった.この結果を情報処理学会論文誌(テクニカルノート)に投稿し,採択された.年明けからは,この光学系モデルに変復調/符号,復号化を含めた通信システムのモデルを接続し,全体のモデルでビットエラーレートを計測する作業を進めている.変復調(アナログ部分)および符号複合化(デジタル部分)を適切に組み上げる事によって,想定していたよりもはるかに大きいノイズが混入する場合でもそこそこのビット誤り率で通信ができることが発見された.現時点では,混信信号の受信電力の総量が目標信号の倍以上あっても,目標信号だけを復号化できるという結果を得ている.この結果は申請時には予想しておらず,システムの自由度を大幅に向上させると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の課題は,本通信手法の主要部分,1)同期反転した信号を発する事で,受光器がポイントした送信器以外の送信器からの信号が,光学系の段階で相殺され,以後の変復調,符号/符号化処理の段階に関わらないという仕組みが,想定した環境下で動作することを計算機シミュレーションを用いて確認することであった.これに加えて,2)光信号の変復調,符号/復号化方法(誤り訂正を含む)を含めてシミュレーションし, どの程度の通信品質が得られるかを見積もった.1)の部分は想定した通りの結果を得ることができ,投稿した論文が採択された.2)の見積もりについて,予想外の結果を得た.当初,想定しうる最悪の場合であっても受信時に混信信号の電力が目標信号の半分程度であると考えていた.申請時に考案していた変復調,符号・復号化で通信シミュレーションを行った結果,これよりもやや不利な状況でも通信が可能であることが示された.次に,この手法に,CDMA通信などで用いられる変復調技術を組み合わせ,誤り訂正符号を組み込んでシミュレーションを行ったところ,混信信号の電力が目標信号の2倍強ある場合でも,それなりの通信品質(1e-3)で通信を行うことができることが示された(4月末時点).研究開始時点では,混信信号が目標信号よりも大きな受信電力を持っていた場合,目標信号の復号は不可能であると考えていた.このような状況を防ぐべく,1)にウェイトを置いて通信系を設計し,2)については補助的な機能しか期待していなかった.しかしシミュレーションの結果,実は2)で適切な変復調/符号・復号化を行うことで,仮に1)の手法を省いたとしてもシステムが動作するかもしれないという結果が得られた.当然,2つの方法を組み合わせれば,当初想定していたよりも自由度の高い運用をすることができることになる.こうした重要な知見が得られたという理由から(1)と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度Simulink環境で構築された通信環境を実装し,シミュレーション結果を現実の通信に反映させることができるかを検証する.本システムは,通信器であるとともにポインティングシステムでもある.従って,動作の検証のためには,ポイントの物理的な状況と通信品質(ビット誤り率=BER)の関係の調査が必要である.この関係は,理想的にはポイント時にはBERが0に近くなり,それ以外の場合には0.5に近くになる.非ポイント時とポイント時のBERの変化は,連続的ではなく,離散的に(0→0.5に一気に)に変化しなければならない.またポイント時であっても,複数の送信器からの光信号が入射しているため,この混信の影響でBERはやや劣化するはずであるが,この劣化は可能な限り低減されていなければならない.このように,受信器によるポイント状況と通信品質が意図されたとおりに変化するかどうかを実証機による実験でチェックする.実装を行うにあたり,システムを3つのパートに分けて考える.光学系,アナログ電子系,デジタル電子系である.光学系は受光器に集光/結像させるためのレンズ等の結像系であり,アナログ電子系は,光電変換された電流を増幅するプリアンプ部分である.デジタル電子系はそれ以降の符号化/復号化処理を行う部分である.今年度は,光学系とアナログ電子系は,それぞれを専用のソフトウェアを導入して設計し,実装する.デジタル電子系の実装は,Simulinkのモデルベース開発方法を基に行う.この方法はSimulinkモデルから自動的にVHDLコードを生成し,FPGAに書き込む手法で,FPGAの使用時にも内部状態を監視できることから,通信器などの開発時間の短縮に定評がある.最終的には,結像系とアナログ電子系をFPGAに接続し,実際に通信をさせながらFPGA上での信号処理状況を観察し,符号/復号化手法を適宜調整する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光学系の設計のために結像系のシミュレータであるCODEVを導入する.アナログ電子系の設計のためにはPSPICE(昨年度購入)および,PSPICEのブロックをSimulinkにリンクさせるためのSLPSブロックセットを購入する.従って,結像系以降の電子回路系は,基本的にSimulinkでシミュレートすることができる状態になる.また,モデルベース開発のベースとなるFPGAセットには,Xilinx社のDSPボードセットを導入する予定である.モデルベース開発を支えるソフトウェアセットは,Xilinx社製かMathWorks社製のソフトウェアのどちらかを検討のうえ購入する予定である.結像系および受光器については,精密な保持具が必要となる.これらは特注によって対処する予定である.
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