2011 Fiscal Year Research-status Report
系統的な接触状態制御による把持姿勢データベース構築と手姿勢生成
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23700242
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮田 なつき 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 研究員 (90344225)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 把持 / 関節可動域 / アルファハル |
Research Abstract |
本研究では,手が物体を把持する姿勢を,手の関節の動きうる範囲という観点から整理して収集し,データベース化することを目指す.23年度はまず,把持姿勢を系統的に制御するために必要な,手指関節の動きうる範囲(関節可動領域)のモデル化を行った.関節可動領域は従来,関節ごとに独立に,最大伸展角度や最大屈曲角度といった限界値で表現されており,この二つの値に挟まれた領域が可動域であるとされていた.しかし,実際には隣り合う関節は連動しており,そのすべての姿勢を独立制御することはできないため,真に動きうる領域を知りたければ,このような連動関係を含めた関節可動領域の表現方法が必要となる.手がとりうるあらゆる姿勢を計測することができると仮定すると,そのあらゆる姿勢データの集合が関節可動領域を形成する.各手姿勢データは30個近い姿勢変数で表現されることから,すべての関節の連動性を一度にまとめて表現することは難しい.そこで,あらゆる二つの姿勢変数の組み合わせの集合体として表現することにした.各組み合わせでは,計測された姿勢データは二つの姿勢変数のなす2次元平面内の点として表現され,互いの連動関係が強ければ,平面内の限られた場所にのみ点データが存在し,連動関係が弱ければ,各軸の最大値と最小値で囲まれた矩形領域内全域に点データが散在することになる.そこで,姿勢データの存在する領域をアルファHullを用いて表現し,連動を考慮した関節可動領域の表現とすることを提案した.実際に20種程度の運動中の姿勢を計測し領域を求めたところ,解剖学的に連動関係が強いことが既知である指節間関節同士では,計測された姿勢データ点は最大値および最小値のなす矩形に比べ非常に限られた領域に分布した.提案した表現内におさまる点をランダムに求め,実際に被験者にやってもらうと,ほぼ実現可能であったことから,提案する表現手法は妥当といえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者が数カ月,産前産後の休暇を取得していたことで,少々遅れが生じた.また,他に申請していた関節角度限界のモデリングに関する予算が採択されず,これをあわせて推進する必要があり,初年度はそちらを重点的に進めたことも,少し遅れた原因となった
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Strategy for Future Research Activity |
掌側を約30の部位に分け,初年度に実施した関節可動領域モデル化の結果を利用し,把持の成立が定性的に期待される領域を手首座標系で求め,実験用の物体サイズの要件を求め,把持対象物体を準備する.また,構築したデータベースが日常的な物体の把持姿勢を包含していることを確認するため,既存の日常品を多数準備する.これらを把持する姿勢を,数名の被験者について取得し,データベース化を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際に把持物体の要件を決め把持姿勢を取得することから,主に,寸法を部分的に変更可能な把持対象物体を作成するための消耗品として利用する.また,日常的な物体の把持姿勢を計測できるよう,既存の日常品を多数購入する.また,日常品の三次元モデル化のための,レーザレンジスキャナ利用代や,自前で設計した把持対象物体三次元モデルの,光造形装置による実体化代として使用する.
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