2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700262
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺園 泰 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 研究員 (90435785)
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Keywords | モーメント / 統計量 / 共分散行列 / 連続写像 |
Research Abstract |
本研究では,画像や音声をはじめとする多次元観測信号について,その統計量である n 次モーメントがどのように情報を担っているか,またどのように特徴が記述できるか明らかにすることを目的の一つとしている. 今年度は,前年度の研究を受け,モーメントを利用した情報復元について検討を行った.手法としては,元のデータセットの次元を縮小するような線形写像による観測から,まず何らかの次数のモーメントについて,独立性の仮定に基づいて推定を行う.独立性の仮定は,前年度の実データに関する調査で,妥当である場合の存在が確認されている.次に,得られたモーメントの推定を基準とし,これを制約条件ないし罰金項の基準として,元データを変数とする最適化問題を構成する.特に,2 次のモーメントが最適化問題として定式化しやすいことから,これを利用し,半正定値計画問題,二次錐計画問題,二次計画問題等の形による原信号復元の方法の検討を行っている.なるべく汎用的な評価関数により復元性を向上させたいという側面と,より個別のデータ種に適した評価関数を探索したいという側面があり,この両面からアプローチを試みている段階である. 提出中の Berge の最大値の定理の関連定理の論文は,レフェリーから主定理の証明方法について有益な示唆を受け,現在再修正中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,n 次モーメントによる画像・音声等の特徴記述の検討と,モーメントを利用した信号処理の可能性の検討,そしてデータ自体の性質の検討について,とくに原信号の圧縮と復元に関して,前年度得られた知見に基づき,具体的な方法の開発・検討へと進展している.また,劣決定問題に関する側面について,投稿していた論文は,査読結果を受けて改訂・再投稿を行ったが,再査読により主定理の証明の改善方法を提示されたため,現在再改訂中で,完了次第提出の予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,モーメントを利用した原信号復元について,手法としての一定の成立を目標として開発を進める.また,元データの表現として,元データを適切に線形変換した後にモーメントを求める方法を具体的に検討し,復元手法の効果をより向上させるとともに,データ表現としてのモーメントの有効性の向上を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,理論的な定式化を検討する割合が当初予定よりも増したため,想定よりも機材等の費用が少なくなったことが主要因である.また,いくつかの機器について,想定より高性能なものがより低価格で取得できたのも要因のひとつである. より高次の統計量やより大きなデータを扱うため,計算機の演算および記憶能力の向上,および実世界のデータの取り込み手段の入手・改良,また処理プラットフォームとなる数値計算等のソフトウェア,また高度な統計的信号処理・線形代数の手法をサポートする文献の入手等に充てる.
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