2013 Fiscal Year Annual Research Report
学術情報流通における研究データの役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23700284
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
三根 慎二 三重大学, 人文学部, 講師 (80468529)
|
Keywords | 研究データ / 学術情報流通 |
Research Abstract |
今年度は,学術情報流通における研究データの役割を明らかにすることを目的として,1)e-Scienceの代表的領域である高エネルギー物理学領域を対象とした研究データ提供に関する調査および2)研究データ共有の方針および実践に関する調査を行った。 研究データ提供に関する調査に関しては,英国ダーハム大学が中心となって管理しているHepDataを対象に,Reactionデータの提供状況を調査した。その結果,1)データ提供数は2013年までに約8000件が登録され,1950年から2000年までは多少の増減はあるが増加傾向にあったものの,2000年以降は半数程度に留まっていること,2)データが公開されている論文の掲載タイトルは,高エネルギー物理学領域のコアジャーナル(Physical Review Letters,Physics Letters B,Physical Review D,Nuclear Physics B,European Physical Journals Cなど計10タイトル)で7割を占め,一部のタイトルに収集していることがわかった。 研究データ共有の方針および実践に関する調査に関しては,先行研究の網羅的レビューを行い,1)英米の研究助成機関(NIHやRCUKなど)で策定が進んでいるものの曖昧さや適用可能性が問題になっていること,2)研究者による研究データ共有の実践は,一部の分野で進展しており,a)自然科学系の分野が中心であり人文科学系はほとんど見られないこと,b)データ共有の意思は非常に高い一方で,実際の共有経験はそれほど高くない傾向が見られるものの,その割合は分野によるが上昇傾向が見られた。さらに,研究データ共有には,個人的要因,制度的要因,技術的要因,文化・社会的要因が相互に影響していることなどがわかった。
|